原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その127   2017年3月1日
その127   2017年3月1日
原子力規制委員会は福島県民の年間20mSv地域への帰還を撤回せよ
南相馬市のクリニック院長が避難指示解除の正当性に異議を表明

 被ばくと発がん影響についてのしきい値無し直線モデルゆえの年間1mSv以下が世界の常識である。それにも拘らず、原子力規制委員会が年間100mSvで安全、年間20mSvで帰還なる非科学的な2つの提言を出しそれが今の国と県の帰還政策をもたらしている。
 帰還政策への批判の声が地元福島の医師が発しているので紹介する。 
「高野病院のことを安定して存続させることのできない日本社会ならば、避難指示が出された原発事故被災地への住民の帰還を促進することを正当化することはできない」(ほりメンタルクリニック院長 精神科医堀有伸、医療ガバナンス学会MRIC Vol.044、2月27日)
  http://medg.jp/
 高野病院が存続の危機にある中で、「国は平成27年6月に、帰還困難区域を除く区域への避難指示を、平成29年3月までに解除する方針を示した。」ことに対して、2月27日に堀院長が「この小文の目的は、この方針の正当性に異議を表明することである。はっきりと言って「準備不足」であるし、「性急・拙速」である。」と主張しているのである。
以下にはその一部を紹介する。
○震災後5年以上が経過した時点で、年間積算線量を20mSvまで許容するという基準で避難指示の解除が決定されていることは、他の地域と比較して公平の原則が保たれていないと考える。
○たとえば貯水池の除染が行われていないという問題がある。
○さまざまな人の気持ちを刺激してしまう放射線の議論を回避しても、現在進行している「帰還」の方針の強引さを指摘することが容易な状況が、残念ながら出現してしまっているのだ。
○今回の原発事故の看過できない特徴の一つは、震災関連死の多さである。震災後に福島県内だけで震災関連死と判定された方は、2086人いる。この多くが、医療を含めた生活環境が整わない避難生活の影響を強く受けた結果であるといえるだろう。
○「帰還」を熱心に推し進める政府が、帰還先の居住環境を整えることについて、口先は別として真剣に取り組んでいるように見えない。
○無謀な戦争を遂行し、兵隊たちに特攻を指示した太平洋戦争時の大日本帝国のことすら、連想をしてしまう。
○ある自治体の住人「今度の帰還は、2度目の避難のようなものだ。震災から5年以上が経過して、仮設住宅のような場所でもそれなりにコミュニティが成立していた。しかし今回また、それがバラバラになり、新しい場所での生活を始めなければならない」
○嫌な記憶がある。平成24年の4月に避難指示が出た地域への住民の一時帰宅が許可された。その後の5月と6月に一時帰宅中の住民がその場で自殺をしたというニュースが報じられた。おそらく、あいまいなままになっていた故郷のイメージについて、その変わり果てた現実を急激に突きつけられてしまうような経験をしたのだろう。この春には、そのようなことが起きないことを祈るばかりである。
○当たり前であるが、人間が生活する以上は消費者としてのみ存在することができない。事業者・勤労者として生活費を稼ぐ必要がある。帰還を望む人、実行している人々は、高齢者が中心である。高齢者が単身、あるいは夫婦のみで、周囲に人が少ない状況で散らばって生活しているという状況が、実際に出現している。 その人々の生活能力は、この後の数年間で大幅に衰えていくだろうと予想するのが自然である。この状況をどのようにケアしていくのか。
○国は、原発事故の被災地について、住民を帰還させる方針を立てたのならば、きちんと生活できる環境を整備する責任がある。もしそれができないのならば、安易に帰還を急がせるべきではない。

 堀医師は、「確かに筆者も、今回の福島の事故で放射線による直接的な健康被害は軽微であると主張」してきた人だし、この医療ガバナンス学会の論文にも福島県民に被ばくを強要する論文も多い。
 それでも、イチエフ事故後6年を迎える今、地元クリニック堀院長が黙っていられなくなったのだ。