原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その115   2016年10月21日
「免震機能なし緊急時対策所」で認可してはいけない!
東電前社長談「あれ(免震重要棟)がなかったらと思うとぞっとする」を忘れるな


  9月13日の審査会合で九電から川内も玄海も緊急時対策所は免震構造でなく耐震構造に変更する説明をし、規制委から異論がなく、川内は当初本年3月完成予定の免震重要棟を造らず、玄海も免震棟無しで設置変更許可が認可される見込みだ(但し、さらに工事計画認可、保安規定、使用前検査があり「合格」とは言えない)。

 すでに、浜岡でも伊方でも島根でも免震重要棟が造られたことが示すように、多くの電力会社が免震重要棟を造るつもりであった。ところが、電事連で申し合わせたかのように、九電に続き多くの会社も免震機能無し緊急時対策所での申請に切り替えた。電力会社は基準地震動が上がったからとか、免震ゴムが持たないからとか言い訳をしているが、規制委はこれを認めてはいけない。

 東京電力の前社長は「あれ(免震重要棟)がなかったら、と思うとぞっとする」と話したことを忘れていないか?

イチエフ事故の「国会事故調報告書」には次の記述がある。
≪被災当時、これらの発電所内に「免震重要棟」と呼ばれる緊急時対策施設が既にあったことは、…、原子炉事故を回避するための対応を完遂できた背景として大きな意味を持つと考えられる。≫

 泉田新潟県知事が、2007年の中越沖地震の折に東電サイトを連絡が取れなくなった経験から、東電に強く要求して柏崎刈羽のみならず福島第一原発にも設置させた免震重要棟。イチエフで完成したのは3.11事故の8か月前で、そのお蔭で私たちは本州で生きていられるのだ。

それゆえ、「新規制基準」にも次の条項がある。

実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則
(緊急時対策所)
第四十六条 工場等には、一次冷却系統に係る発電用原子炉施設の損壊その他の異常が発生した場合に適切な措置をとるため、緊急時対策所を原子炉制御室以外の場所に施設しなければならない。
(緊急時対策所)
第七十六条 第四十六条の規定により設置される緊急時対策所は、重大事故等が発生した場合においても当該重大事故等に対処するための適切な措置が講じられるよう、次に定めるところによらなければならない。
一 重大事故等に対処するために必要な指示を行う要員がとどまることができるよう、適切な措置を講ずること。
二 重大事故等に対処するために必要な指示ができるよう、重大事故等に対処するために必要な情報を把握できる設備を設けること。
三 発電用原子炉施設の内外の通信連絡をする必要のある場所と通信連絡を行うために必要な設備を設けること。
2 緊急時対策所には、重大事故等に対処するために必要な数の要員を収容することができる措置を講じなければならない。

 免震機能のない緊急時対策所で上記が実現できるとは思えない。「新規制基準」の中で、イチエフ事故を踏まえた数少ない「売り」である「緊急時対策所」の手抜きは許されない。
以上