原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その98   2016年6月11日

なぜ止めない?川内原発!
今年3月に完成しているべき免震重要棟がないままで川内原発を稼働するな


 川内原発1,2号機は、熊本大地震が続き震度1以上が1700回に達しようとする中で、稼働している。それも、認可においては、今年の3月に出来上がっていないといけない免震重要棟が未だに着工もされていないのに。さらに、免震重要棟を耐震支援棟に設置変更しようとしていてその審査が続いているのに。

○免震重要棟設置の約束
九電が規制委に提出した「川内原子力発電所1号炉及び2号炉 緊急時対策所について(2013年8月)」(https://www.nsr.go.jp/data/000040260.pdf)を見て驚く。
はじめに「平成27年度に完成予定の免震重要棟内に新たに緊急時対策所を設置する計画である」と明記してあり、既に設置されている代替緊急時対策所との比較表(3−21ページ)が出ている。
代替緊急時対策所:H25.9に設置、場所はEL25m、鉄筋コンクリート造、建屋面積200u、対策所面積170u、収容人員100人、水道設備も汚染水槽も無し
免震重要棟:H27年度末に設置、EL約30m、免震構造の鉄筋コンクリート造、建屋面積6600u、対策所免責620u、収容可能人員1000人、休憩室・会議室・医務室・環境放射能測定室・受水槽・汚染水槽あり
ところが、今年の3月までに建ち上がらないといけない免震重要棟は着工もしていなかったのだ。規制委もそれを知りながら、昨年年8月に1号機、10月に2号機の稼働を認めた。明らかに規制委と九電で結託して免震棟無しで再稼働したのだ。

○緊急時対策所の設置変更
1,2号機稼働のすぐ後の昨年12月に九電は免震重要棟を造らないと発表した。規制委も差し戻しのそぶりを見せたが、その後2基を稼働したままで設置変更許可の為の審査が続いている。12月から合計9回も事業者ヒアリング(非公開)を実施しているのだ。
例えば、九電が提出した「川内1号炉及び2号炉原子炉設置変更許可申請のうち緊急時対策所及び受電系統の変更概要について(H28年1月26日)」(https://www.nsr.go.jp/data/000137392.pdf)では、当初計画に対して、代替緊急時対策所をそのまま緊急時対策所とし、一方で免震重要棟を造らないで耐震支援棟を造ると設置変更し、くどくどと設計見直しの妥当性を書いている。

また、「川内原子力発電所1号炉及び2号炉原子炉設置変更許可申請の概要について(H28年3月28日)」(http://www.nsr.go.jp/data/000147157.pdf)では、当初申請と今回申請との対比表があり、当初あった沢山の「緊急時対策所(免震重要棟内)」にかかわる記述がすべて削除されている。
 規制委の「設置許可基準規則」には「基準地震動による地震力に対し、免震機能等により、緊急時対策所の機能を喪失しないようにする」とあるのに、免震を耐震に安易に妥協するべきではない。また、これだけの設置変更をするならば、川内1,2号機を止めてから、追加審査をするべきである。

 福島第一原発事故時の免震重要棟における緊急対応を思い起こせば、規制委にも九電ににも(田中委員長が大好きな)「安全文化」が全く欠如していることが良く分かる。