原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その77   2015年12月16日

行政不服審査法に基づく異議申立を規制委が不当に「却下」
自分たちの「処分」を自分たちで「良し」とする違法・不当「却下」

  原子力規制委員会は去る12月11日に臨時秘密会合を開き、行政不服審査法に基づく川内原発1,2号機の設置変更許可に対する異議申立(約1500名から)に対して「却下」を決定し、13日夜に異議申立人総代に届けた。

 異議申立人総代が翌日14日に抗議の記者会見を実施、翌日に報道された。中でも、神戸大学名誉教授石橋克彦さんは、<「審査や判断過程に違法又は不当な点はない」という結論にまったく説得力はなく、この件に関しては主文の「本件異議申立てを棄却する」は意味をなさない。>と抗議した。石橋克彦さんのコメント→ http://tinyurl.com/z5sgbrs

 私からは、次の点を指摘し、この「却下」決定に強く抗議した。

(1)審理担当と審理決定者が不当

 本異議申立についての審理は、「原子力規制庁 安全規制管理官(PWR担当)付」が担当した。適合性審査を担当した部署による審理であり中立性が保てる訳がない。審理は、原発再稼働に全く関係が無い省庁と有識者により行うべきである。また、有識者選定においては異議申立者の意見も取り入れるべきである。今回の審理は、審理担当が不当である。更に、「却下」決定者も同じ原子力規制委員会であることも不当である。

(2)異議申立の審理の非公開は不当

 異議申立の意見陳述会も、その後の審理も、そして最終決定の臨時会議も非公開で行われたが、これでは異議申立者にも国民にも「決定」過程が分からない。少なくとも、意見陳述会と原子力規制委員会臨時会議は公開で実施するべきであった。

(3)「却下」決定前に再稼働容認は不当

 ひとたび事故が起これば、原発周辺のみならず日本中、世界中に放射能汚染をもたらすことが、チェルノブイリ原発事故でも明らかになり、4年9ヶ月前の福島第一原発事故でも実証されている。原子力規制委員会の設置目的「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的」に照らせば、審理が終わるまでは川内原発の再稼働を容認するべきではなかった。本年8月に1号機、10月に2号機を稼働させたが、異議申立に対する「決定」の前に再稼動を容認したことは不当である。

(4)申立者の適格性を疑う記述は不当

 申立者は日本に住む国民である。決定では、「社会通念に照らし、合理的に判断しても、原子炉事故等による災害により直接的かつ重大な被害を受けるものと想定される地域に居住する者に該当するものとはいえず、したがって、異議申立適格を認めることはできないもの」と書いているが、前述のように原発事故の影響の重大性と広汎性を考えれば、総ての国民が異議申立の適格性を持つことは明らかである。適格性を疑う記述に強く抗議する。(「適格性」を疑うべきは、安倍政権のもと「私人」ではない沖縄防衛局が同じ行政不服審査法を乱用して沖縄県に対して申し立てを行った行為である。)


 なお、審理資料と決定書等は原子力規制委員会サイトで公開されている。

    https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/00000094.html

 そして、異議申立者からのコメントは次に公開している。

  http://1drv.ms/1J4n4lm