原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その76   2015年12月12日

もんじゅ移管勧告に誤魔化されてはいけない、核燃料サイクルを延命させるな
田中俊一委員長は元JAEA特別顧問

 
  原子力規制委員会は11月13日に高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)について、運営主体の日本原子力研究開発機構(JAEA)は「不適当」とし、新たな運営組織を見つけるよう馳浩文部科学相に求める勧告をまとめ、田中俊一委員長が勧告の文書を馳文科相に提出した。

 この報道で、原子力規制委員会やるじゃない、なんて人がいるが、騙されてはいけない。

 私は、この勧告は、田中委員長の責任回避策であり、原発再稼働推進策であり、経産省による文科省からの利権獲得であり、核燃料サイクルの生き残り策である、と思う。

○田中委員長はJAEAの特別顧問

 JAEAは、2005年10月に日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構と統合して独立行政法人日本原子力研究開発機構となった。その折に、田中俊一氏は特別顧問に就任している。当然経営にも責任を持っている。

 そればかりか、田中俊一氏は、大学卒業後すぐ1967年に日本原子力研究所に入所して40年弱在任し、99年東海研究所副所長、2002年東海研究所所長、2004年副理事長に就任、原研の経営責任を負っており、JAEAの前進には経営責任も持っているのだ。

 つまり、田中規制委員長は、もんじゅの運営に「不適当」な組織にどっぷりつかってきた人間だ。

○川内1,2号機の再稼働を確認してからの勧告

 1万点のもんじゅ点検漏れは2012年12月に判明し13年5月には運転停止命令を出している。そればかりか、原発ゼロの会で資源エネルギー庁を追及するまでもなく、核燃料サイクルが破綻していることは衆知であるのに、その問題を隠したまま、川内原発を再稼動させた直後にこのもんじゅ勧告が出された。

○経産省と文科省の利権争い

 もんじゅの問題責任を運営組織JAEAの問題と指摘して文科省に勧告を出したが、もんじゅの1995年12月8日のナトリウム漏えい火災事故をきっかけに科学技術庁が潰されたように、今回も経産省が高速増殖炉利権を奪おうとしているのではないか。実際に、経産省が核燃料サイクル延命のために新たな認可法人(再処理事業の実施主体)を作ろうとしている(12月1日東京新聞朝刊)。

 本来は、使用済み核燃料(特に高レベル放射性廃棄物)の保管・管理方法や場所の問題や、核燃料サイクルの実現可能性を再確認してから、原発の再稼働を論じるべきであることは、日本学術会議も提言していたばかりでなく、多くの専門家や「国民」の当然の考えである。

 にもかかわらず、政管と学と産が「三人寄れば文殊の知恵」とばかりに、愚かな政策を実施しようとしている。