原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その71   2015年11月2日

住民に被ばくを強要する田中委員長
生涯1000ミリシーベルトを押付けるな

 

  10月中下旬に田中委員長が福島県の14市町村の首長と話しをして回ったが、南相馬で安全基準について問われた時に、国際的には生涯1000mSvという基準がある、と答えたそうだ。(10月28日原子力規制委員会記者会見、アワープラネットTV白石さんの質問: http://www.nsr.go.jp/data/000128086.pdf のP.4-5)

 佐藤規制企画課長も「実際にICRPからの勧告も生涯1000mSv」と言及している。

 これはひどい話だ。理由を列記する。

1.国際放射線防護委員会ICRPは民間国際学術組織でアルベール・シュバイツァー以来多くの人が基準が甘すぎると批判している

2.ICRPの勧告は次のとおり

 長期間では1mSv/年で参考レベルとして1〜20mSv/年。

 緊急時には最も高い計画的な被ばく限度として20〜100mSv/年の範囲で参考レベルを設定。

3.10月20日に厚生労働省が福島第一原発事故後の作業で被ばくした後に白血病になった元作業人に労災認定したが、その男性の累積被ばく線量は19.8mSvで、白血病認定基準は年5mSv。


  放射能は、細胞分裂で重要なDNAや染色体を傷つけるため、低線量でも被ばくリスクが存在し続け、しきい値はない(「直線、しきい値なし」モデル)が世界の常識。

 また、例えば濱岡豊「長期低線量被曝研究からの知見・課題と再分析」(岩波科学10月号)においても、比較的新しい12の研究で「放射線と癌死もしくは発症に有意な正の関係が検出」され、線形モデルが支持され、長期低線量被爆の影響が検出されている。

 にも拘らず、田中委員長は生涯1000mSvを持ち出して、年間20mSv(50年間で約1000mSv)の地域に住民を帰還させようとしているのだ。