原子力規制委員会は再稼働推進委員会! その67 2015年10月6日 「発電所の主要な安全施設が…地盤振動の影響を受けたことを示す兆候はない」の大嘘! IAEAにこう言い切らせる原子力規制委員会 |
国際原子力機関IAEAが本年8月末に発表した「福島第一原子力発電所事故 事務局長報告書」には次の記述がある。 「発電所の主要な安全施設が2011年3月11日の地震によって引き起こされた地盤振動の影響を受けたことを示す兆候はない。これは、日本における原子力発電所の耐震設計と建設に対する保守的なアプローチにより、発電所が十分な安全裕度を備えていたためであった。しかし、当初の設計上の考慮は、津波のような極端な外部洪水事象に対しては同等の安全裕度を設けていなかった。」 15ページに及ぶ「要約」の中の「外部事象に対する発電所の脆弱性」項のこの一文「地震によって引き起こされた地盤振動の影響を受けたことを示す兆候はない。」は、国会事故調査委員会の報告や田中三彦さんの指摘や実際に1号機に入った川内博史さんの指摘や多くの専門家の指摘に反している。 それでも、日本で原発を稼働させる為にはどうしても必要な結論なのだ。なぜなら、川内も高浜も伊方も提示している基準地震動に対してさえ耐震偽装が見られ、これ以上基準地震動を上げて耐震強化することは、原発を新たに造り直さない限り事実上不可能なのだから。 それ故、原子力規制委員会が「新規制基準」を造った後(明らかな手順前後!)に立ち上げた「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討会」の「中間報告」(2014年7月)で、国会事故調査委員会の委員の意見聴取も意見交換も全くせず、正に非科学的・非技術的に、正に政治的に、 「1.津波到達までは、漏えいが発生したデータは見いだせない。2.仮に漏えいが発生した場合でも、保安規定上何らかの措置が要求される漏えい率を超えるものではなく、10時間程度の時間経過で炉心損傷が発生するとは考えられない。」と結論づけたのだ。 案の定、中間報告を出した後、1年以上もこの検討会は1回も開催されていない。 IAEAの報告書が参照している参考文献【11】は、この中間報告を受けて規制委がIAEAに提出した報告であろう。 【11】NUCLEAR REGULATION AUTHORITY, Analysis of the TEPCO Fukushima Daiichi NPS Accident,Interim Rep. (2014) https://www.iaea.org/sites/default/files/anaylysis_nra1014.pdf 国際原子力推進機関たるIAEAと結託して、危険な原発を再稼働させようとする原子力規制委員会の無責任な独走を許してはいけない。 なお、IAEAの「福島第一原子力発電所事故 事務局長報告書」(日本語版)は次からダウンロードできる。 http://www-pub.iaea.org/MTCD/Publications/PDF/SupplementaryMaterials/P1710/Languages/Japanese.pdf#search='IAEA+%E7%A6%8F%E5%B3%B6+%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8' |