原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その60   2015年8月22日

福井地裁決定を無視して高浜3号機の使用前検査開始
推進側の論理で動く規制行政

   8月21日に「川内原発フル運転延期 海水漏出 出力上昇を中断」、11日に再稼働してわずか10日でトラブルが発生した。

 福井地裁曰く「緩やかに過ぎ、合理性を欠く」新規制基準で、「違法」(石橋克彦さん)で「黒枠白抜き偽装、耐震偽装」(山崎久隆さん)など問題だらけの審査で合格としたのだから、当然だ。

 ところが、8月17日に原子力規制委員会は高浜原発3号機の使用前検査を開始した。さる4月14日に「…運転差止仮処分命令申立事件」において、福井地裁が「…高浜発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。」と決定したことを全く無視して。

 当然、規制庁ブリーフィングでも記者が質問したが、これに対する答えも驚くべきものだ。

(8月14日の規制庁ブリーフィングから)

○記者
 高浜の使用前検査ですけれども、改めて伺いますが、規制庁としては何号検査までできるとお考えですか。要は運転禁止の仮処分が出ている状況で、何号検査まですることが可能だとお考えでしょうか。

○松浦総務課長 なるほど。それはまずは関西電力の方が、彼らについての仮処分決定が下っていますので、それについてどういう申請をしてくるかということに尽きると思います。

○記者 ただし、工程としては、もう5号検査の工程まで関電は全て示していて、ある意味、規制庁側にボールが投げられている状況なのではないかなとも思うのですが。

○松浦 工程については、確かに我々、申請書という形で5号検査まで頂いていますが、具体的にどの検査が来るかというのは、川内のときもそうですけれども、何月何日にこういう検査をしてくださいという申請が来ますので、それを見てということになりますが、いずれにしても一義的な判断は関西電力だと思っております。

○記者 では、申請が出て検討するということなのですか。それとも既に法的にどの検査までできるかというのを内々に検討は始めているのでしょうか。

○松浦 法的にどの検査ができるかというのは、この仮処分決定についての法的主体はあくまでも関西電力ですので、関西電力が考えることだと思います。

 司法が出した決定に対して行政がどう答えるのか。憲法の三権分立にしたがって司法の決定を尊重して規制行政がどう対応するのか。本来なら、福井地裁決定を受けて、即座に高浜原発の審査をストップするべきである。

 にも拘わらず、規制庁は全く答えずに審査を進め、司法への対応判断を事業者任せにしているのだ。

 原子力規制委員会設置法に対する「衆議院決議文」の第一項に明らかに反している。

  一本法律が、「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資すること」を目的としていることに鑑み、原子力規制行政に当たっては、推進側の論理に影響されることなく、国民の安全の確保を第一として行うこと。