原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その58   2015年8月8日

「新規制基準」は既存原発を動かす為に世界最低水準!
15項目にわたって福島原発事故前の世界水準に追いついていない「新規制基準」

   安倍首相の「世界最高水準」は出鱈目で、「新規制基準」は世界最低水準である。ストレステストも立地指針もコアキャッチャーも受動的安全性も課さず、おまけに地震対策も火山対策も緩過ぎで、かつ複数基立地・稼働を容認しているのだから。

 このことを別の視点で示す強烈な論文を発見した。佐藤暁さんが岩波「科学7月号 アキレスを追いかけるカメ」で書いている驚くべき事実だ。

 米国などではとっくの昔(福島事故前)に解決済みの次の15個の問題を、規制委が作った「新規制基準」は未着手・未解決のまま放置されているのだ。


(米国では福島事故以前に対応済みだったが、日本では現在も未対応の事項)

1 プラント個別の内部事象、外部事象に対するリスク評価

2 PRAの信頼性向上のためのピア・レビュー体制の確立とベンチマークの実施

3 確率論的評価にもとづく、自然現象に対する設計基準の設定手法を確立

4 「設計基準地下水モデル」の設定、監視。信頼できる排水手段の確保

5 敷地内地下の地質構造の把握。土壌、地下水汚染を監視するサンプリングの強化

6 自衛消防隊の強化

7 中央制御室の大規模火災と電気設備の多重故障・誤作動・誤不作動への対応

8 SBOに対する専用の公設バックアップ電源

9 デジタル・コンピュータの脆弱性、不可知な形態の故障に対する対策

10 緊急時の指揮所と制御室との間の正確、迅速な情報伝達。運転員への過重な負担の軽減

11 プラント従事者に対するアルコール・薬物検査の実施

12 複数個所からの同時侵入、高度な武器と戦術、自爆によるテロ攻撃への対応、模擬戦闘訓練

13 プラントの安全設備、保安設備、防災設備に対するサイバーテロへの対策

14 原子力施設が一時的にテロリストに制圧された場合の所内、所外の対応指針の制定と訓練

15 航空機テロなどによる敷地内での大規模火災・爆発に対する対応指針の制定と訓練


 これらの問題点に対して、「新規制基準」は未着手・未解決なのだ。こんなひどい世界最低水準の「新規制基準」に基づき、さらに「違法」とまで指摘されるゆるゆるの審査で合格しても、安全だなんて絶対に言えない。

 現に私たちは、設置変更許可に対しても、工事計画変更認可に対しても、保安規定変更認可に対しても、行政不服審査法第6条に基づき異議申立をし認可処分の執行停止を訴えている。

 原発は、「安全」も「安い」も「電力足りない」も大嘘だったことが明らかになり、特に、既に690日も原発稼働なしで悠々と生活できているのだから、鹿児島川内原発は勿論、総ての原発を今稼働させる理由は何もない。

(出典:岩波書店 雑誌「科学7月号」の「アキレスを追いかけるカメ〜世界水準と日本の原子力の位置」)