原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その35   2015年1月20日

福島第一原発がれき撤去作業によるコメ汚染を否定する田中委員長
「科学的・技術的」でなく「非科学的・政治的」規制委だ−牧野淳一郎さん(理化学研究所)
原子力規制委員会に深刻な問題があることを、私たちは真剣に考えなければならない
   規制委が「科学的・技術的」でなく「非科学的・政治的」情報発信していることを何度も述べてきた。今回は、牧野淳一郎さん(理化学研究所)が岩波「科学(本年1月号)」に書いた「3.11以後の科学リテラシー」から紹介する。

 2013年8月19日に行った福島第一原発3号機のがれき撤去作業で、がれきの下敷きになっていた放射性粉塵が飛散し、20km以上離れた南相馬市で収穫されたコメから基準値(100Bq/kg)を超える放射性セシウムが検出され農水省が要請して作業を中止した。現実に、双葉町(郡山)34000Bq/平方m、浪江町(浪江)580Bq/平方m、南相馬市(福浦)1100Bq/平方mと放射性セシウム降下量の実測値があり、双葉町(郡山)のモニタリングポストの空間線量がイチエフからのダスト放出時間と一致して午前10時前後と午後1時半前後に上昇している。

 にもかかわらず、田中俊一委員長が「汚染はがれき撤去によるものではないことが明らかになった」と発言した。その根拠に使ったのが一見「科学的・技術的」に見えるモデル計算。モデル計算では、例えば双葉町(郡山)で144Bq/平方mと実測値の236分の1。要するにモデル計算には説明力が無いのだ。にもかかわらず、そのことを無視して、モデル計算の結果にもとづいて「がれき撤去によるものではない」と言ったのだ。

 牧野さんは、「田中委員長の発言は、現実を説明しないモデル計算を根拠にし、計算に合わない現実は無視するという態度であり、理解しがたい非科学的な主張です。原子力規制委員会に深刻な問題があることを、私たちは真剣に考えなければならない」と述べ、最後に「科学的・合理的な検討が、行政の都合によってないがしろにされている」、「このようなトンデモなことが原子力規制委員会をはじめとする、真っ当な科学的検討ができなければなんの意味もない組織で実際におこっている、ということと、それがどのような帰結をもたらすか、ということを、多くの人々が理解することは重要だと考えます」と結んでいる。

 この組織・原子力規制委員会が、UPZ30km、5km圏外屋内退避、100mSv/年で安全、20mSv/年で帰還、…を「国民」に押し付けているのだ。