原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その28   2014年11月19日

規制委「事故分析検討会」が暴走して「中間報告」を決定
地震による配管破断隠しを許すな  田中三彦氏の文を紹介
○去る10月8日の規制委定例会議で「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討会」(事故分析検討会)の「中間報告」を決定した。
「東京電力福島第一原子力発電所 事故の分析 中間報告書」として、
http://www.nsr.go.jp/nra/kettei/04_01.html に公表されている。
 結論の一つが「地震発生から津波到達までの間には、原子炉圧力バウンダリから漏えいが発生したことを示すデータは見いだせない。仮に、漏えいが発生した場合であっても、少なくとも保安規定上何らかの措置が要求される漏えい率と同程度の原子炉冷却材の漏えいを超えるものではなかったと判断」だ。
 この結論は全く信用できない。
 事故分析検討会は「原子力マフィア」仲間だけで、国会事故調関係者の意見も聞かずに言わば欠席裁判で、国会事故調が「未解明問題」として提示した問題をことごとく否定した。
○ 岩波「科学11月号」の<原子力規制委員会「事故分析検討会」の暴走(田中三彦)>から、規制委の手続き上の問題を指摘する。
・3.11以前の審議会の復活
 この事故分析検討会のメンバーは、更田委員の他、規制庁4人、原子力安全基盤機構5人、日本原子力研究開発機構4人、「外部専門家」5人の計19人。9人を出している独立行政法人が3.11まで原発の強力な推進機関であり、外部専門家には公然と国会事故調を批判して問題発言をした奈良林直(北大)など「原子力ムラ」人で、全くバランスを欠いた人事である。
・欠席裁判
 規制委は、本来規制委発足後一番に実施するべきこの検討会を、原因追及もなおざりにして「新規制基準」の骨子が固まった後、2013年5月に始めた。国会事故調の未解明問題を最初の検討対象としているのに、元国会事故調関係者から話を聞くこともせず、国会事故調関係者に専門的見解を述べる場も与えなかった。
・独善的な1号機原子炉建屋4階の現地調査
 東電が虚偽説明して国会事故調査を妨害したこの問題を、そもそもの問題提起者である関係者との接触を避け続けて独善的な分析をした。
・奈良林直の示威的・非科学的発言
 7月の中間報告書案を審議する会合で1号機4階における出水事象問題に関して「一部国会事故調の聞き取り調査で発言を強要するようなことが行われた」と発言し、「畳のようにジャッときた」という目撃者の発言を否定した。この発言はすぐに否定し速記録からも会議映像からも削除された。(本シリーズその13参照) これに抗議した田中氏らに謝罪も回答もなかった。
 このように、恣意的に判断し、科学的・合理的な分析をせず、結論ありきで突き進む原子力規制委員会は全く信用できない。