原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その6  2014年6月

年間100mSvでも安全を押し付ける規制委員会
田中委員長の大ウソを批判する
○ 原子力規制委員会は非「科学的・技術的」でかつ政治的な提言をいくつも出している。
 その一つが「東京電力福島第一原子力発電所事故による住民の健康管理のあり方に関する検討チーム」の提言。検討チームは中村委員を座長として2012年11月から2013年2月まで計5回開催された。福島県医師会副会長の木田医師がアナンドグローバーの記者会見に言及して、福島県健康管理調査に疑問を投げかけ、国が積極的に乗り出して被害者の健康管理をするように訴えており、日本医師会も県民健康管理に危惧を呈していた。にもかかわらずあるいはだからこそ、その結論「東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連する健康管理のあり方について(提言)」は主張がはっきりしない訳のわからない提言になっている。
○ もっと重要なことは、この提言に何ら会合では論じられなかったのに田中委員長の指導で次の文を滑り込ませたことだ。「放射線による発がんリスクの増加は、100mSv以下の被ばく線量では、他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さく、放射線による発がんのリスクの明らかな増加を証明することは難しいと国際的な合意が得られている。」
○ この主張は、科学的知見に反する原子力マフィアの政治的提言である。これが今イチエフ事故被害者に1〜100mSv/年でも安全を押し付けている非「科学的・技術的」判断。
 これに対する反論はいくつも示されている。ここでは、かの山下俊一氏がイチエフ事故前の論文における記述を示すにとどめる。「主として20歳未満の人たちで、過剰な放射線を被ばくすると、10〜100mSvの間で発がんが起こりうるというリスクを否定できません」(日本臨床内科医会会誌、2009年3月)に書いていたことを示すにとどめる。
 私たちは、原子力規制委委員会の「科学的・技術的」といいながら実は「政治的」な発言に対して、常に身構えている必要がある。

(参考)
「東京電力福島第一原子力発電所事故による住民の健康管理のあり方に関する検討チーム」:
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/kenko_kanri/
「東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連する健康管理のあり方について(提言)」:
http://www.nsr.go.jp/nra/kettei/data/20130306-04-1-kenkouteigen.pdf