経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その31   2017年4月24日

原子力ムラが自治体原子力行政をゆがめている
〜原子力をめぐる「出向文化」のわざわい〜
 
 岩波「科学4月号」の特集「検証なき原子力政策」には沢山の興味深い論文がある。茅野恒秀さん(信州大学)の<自治体原子力行政の「自治」を問う>が原子力ムラの企みで自治体の「自治」を脅かされていることを明確にした。

◆原子力をめぐる「出向文化」
日本では、推進と規制、事業者と政府といった異なる使命・政策課題を背負う主体が奇妙に「同居」してきたという見逃せない歴史的事実がある。
内閣府原子力委員会の事務局員(約20名)のうち半数近くが電力会社・発電事業者・メーカー・電力中央研究所からの出向者
使用済核燃料処理機構の職員30人はいずれも電力会社からの出向
★ 原子力発電環境整備機構(NUMO)は、発足から17年が経過した現在でも出向者の比率が6割
◆ 青森県の実例
 核燃料サイクル施設を抱える青森県も「出向文化」におかされている。
科技庁・経産省・文科省・資源エネルギー庁・保安院・原子力規制庁からの青森県原子力部門への出向者は、むつ小川原開発室の総括主幹、同副参事、資源エネルギー課の総括副参事・課長、エネルギー総合対策局次長などの要職についた。副参事・次長・室長などの県の方針決定への影響力は50%ほど。
 中央からの出向者が9年にわたってエネルギー総合対策局のナンバー2を務めたこともある。
 使用済み核燃料を搬出する等措置する旨の「覚書」の緊迫した時には、知事が出向者と意見対立し「君は科技庁職員なのか、県庁職員なのか」と叱りつけたこともあった。
◆愛媛県の実例
原子力安全対策推進監の役職は原子力規制庁からの出向者。伊方3号機の再稼働時に中村愛媛県知事が、県が独自に判断し対策を実現したと言ったが、その検討過程は政府から真に独立したものだったと言えるのだろうか。

 原子力ムラのムラビトが自治体にはびこって自治体原子力行政をねじ曲げているのだ。このことを肝に銘じて反原発運動をせねばならない。