経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき! その30 2017年4月20日 経産省が企んだ東電を「絶対に潰さない」「原発復活のカラクリ」 古賀茂明さんが語る経産省と原子力ムラの粘り強さと計算し尽された戦略 |
岩波「科学4月号」の特集「検証なき原子力政策」には沢山の興味深い論文がある。古賀茂明さんの「東京電力の破綻処理からの再出発―原発復活のカラクリを超えて」がなかなか衝撃的だ。 ここでは、小見出しと注目すべき言葉を順に紹介する。 それは福島原発事故の直後から始まった あらためて振り返ると、そこには非常に周到な謀(はかりごと)が存在していた。 原点は事故の免責を得た経産省と「絶対潰れない会社」となった東電 「原子力損害賠償法」には、誰も想定できないような地震は「天災地変」として、電力会社が免責されるという規定がある。東電が規定を使って免責されてしまうと、次は、原発を国策として進めていた経産省の責任が問われる。そこで資源エネルギー庁幹部は、東電の勝俣会長に免責規定の活用を思いとどまるように懇願した。その時見返りとして提示したのが「東電を絶対に潰さない、最後まで守る」という約束だ。東電は、経産省とのこの取引に応じてしまった。 原子力損害賠償機構法を作り、国が賠償に必要な資金を東電に貸し出す仕組みができた。しかも、この借金は返す義務はあるが、いついくらという明確な決まりを作らず、それがわからないから、債務ではないということにして、債務超過を免れた。まさに国家的な粉飾だ。さらに、除染費用、汚染水対策費、廃炉費用についても会計上は債務として認識しないという扱いをした。 福島の事故処理や被災者の救済が極めて不十分な形でしか進まなくなったのは、東電が絶対に潰れない会社になったことが原因。「絶対に潰さない」ということは、東電を債務超過にはできないということだ。 経産省は、事故対策でできた原子力損害賠償機構を支配し、その他の事故関連予算の利権も手中にし、東電を自分たちの子会社とすることにもつなげた。焼け太りだ。 ◆ 「原発は必要悪だ」というイメージ戦略 ◆ 単に動かすための規制基準が「世界最高水準の安全」にすり替わった ちなみに、2012年に設立された規制委は、わずか9カ月で規制基準を作り上げたが、福島の汚染水対策や除染事業などは放置し続けた。 ◆ 再生可能エネルギー推進が原発の免罪符に ◆ 「重要なベースロード電源」と「非化石電源比率」 2016年3月には、経産省が「エネルギー供給構造高度化法」の告示改正で、非化石電源比率(原発+再エネ)を44%以上(2030年度)にするように電力会社に義務付けることを決めてしまった。 原発は絶対に儲かる事業に 今後事故を起こした電力会社には、決して潰れないし、損害賠償、除染、汚染水対策、廃炉などの費用を国または消費者に転嫁できるスキームが用意されてしまった。 伊勢志摩サミットでの国際公約が原発完全復活への狼煙(のろし)だった サミットでは、「すべての国がパリ協定の2016年の発効に向けて努力する」という文章を首脳宣言に盛り込んだ。今後は、この温暖化対策が「原発完全復帰」の切り札となる。 東電の破綻処理からやり直す 今からでも遅くはない、東電の破綻処理をするべきだ。経産省は、松永和夫事務次官が銀行に約束した「東電は絶対に潰さない」という約束があるので、潰せないという負い目がある。 「狂謀者」と「国民」どちらが日本の未来を決めるのか 米山新潟県知事の誕生や破綻に追い込まれた東芝。実は、「原発終焉」の兆しが日本でもはっきりして来たとも言える。 「経産省と原子力ムラの粘り強さと計算し尽くされた戦略」に負けずに、微力でも経産省・資源エネルギー庁を攻めていこう。 古賀さんの近刊「日本中枢の狂謀」(講談社)も興味深い。 |