経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき! その24 2017年3月7日 鈴木達治郎さんが語る「核燃料サイクル破綻」 〜もんじゅ廃炉と実用化計画の矛盾、再処理停止で数兆円の節約に〜 |
鈴木達治郎さん(長崎大学核兵器廃絶研究センター長、前内閣府原子力委員会委員長代理)が、「夢の原子炉」と言われた「もんじゅ」の廃炉決定を受け、政府が堅持する核燃料サイクル方針の見直しは不可避だと主張している。以下はそこからのピックアップ。 ○2016年12月21日に政府の「原子力関係閣僚会議」で、もんじゅ廃炉と高速炉開発の継続とその実用化を目指すこととしたが、福島事故の教訓や反省、原子力依存度をできる限り低下させる政策との整合性は問われず、合理性に欠け無謀で矛盾に満ちた政策だ。 ○希少資源と見られていたウラン資源は、今や豊富に存在することが明らかになり、「プルトニウム増殖」の緊急性はなくなった。 ○福島事故以降の優先順位を考えれば、高速炉の実用化よりも、福島原発の廃炉や放射性廃棄物処分など、優先順位の高い研究開発課題に費用を振り向けるべき。 ○軽水炉による「プルサーマル」は高速炉がないと、いずれ止まってしまう。プルサーマルに使われる混合酸化物(MOX)使用済み燃料の再処理技術は実用化しておらず、MOX使用済み燃料は行き先がなくなって、そのまま地層処分(直接処分)するしかなくなる。 ○問題は再処理のコストの巨大さだ。六ヶ所再処理工場は建設費だけで既に2兆円以上を費やし、運転維持費だけで毎年2000億円規模の出費、廃止措置なども含め、40年間で12兆円以上のコストがかかると見積もられている。 ○経済性では、再処理は直接処分より明らかに劣っており、六ヶ所再処理工場を停止すれば、数兆円の経費が節約できる。 ○政府は16年に「再処理等拠出金法」を成立させ、電気事業者の総ての使用済み燃料に対する再処理費用の拠出を義務付けた。最終的には電気料金、すなわち消費者負担となる可能性が高い。 ○今、最も求められているのは、再処理の必要性をはじめ、核燃料サイクル全体の計画を根本から見直すことだ。推進・反対の立場を超えた客観的な第三者機関で総合的な評価を行うことが必要だ。 ○政府の「方針」(2016年12月)は、2018年に期限を迎える日米原子力協定にも影響を与える可能性がある。米国の専門家や一部政府高官は、協定の下で再処理が継続され、プルトニウム在庫量が増えることへ強い懸念を示し始めている。既にプルトニウム在庫量が48トンで日本が公約している「余剰プルトニウムを持たない」政策の信頼性がもはや保たれなくなってきている。 ○プルトニウム在庫量を削減するために「核燃料サイクル」が必要だと主張されることがあるが間違いで、プルトニウム削減にはまず再処理を止めることが必要だ。 皆さんは、これらからいくつの経産省・エネ庁の嘘を見つけましたか? 以上 |