経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき! その232 2024年11月7日 核ナショナリズムが推進する核発電と核兵器を止めよう 〜山本義隆<核燃料サイクルという迷宮?核ナショナリズムが もたらしたもの>から(4)〜 |
核兵器と核発電(原子力発電)との関係が非常に重要になってきた。何度も紹介してきた山 本義隆さんの本からその議論を紹介する。 岸伸介の潜在的核武装論(同書2.4) ・日本における核開発・原発推進の基底には、核ナショナリズムに導かれ裏打ちされた「潜在 的核武装」という政治路線が連綿と引き継がれていることを直視しなければならない。 ・核技術の保有それ自体が疑似軍事力の保有なのであった。 ・戦前に「満州国」の経済開発、そしてその後の戦時統制経済を指導し、1941年より東条英機 内閣の商工大臣を務めて日米開戦の詔書に署名し、戦後A級戦犯容疑で逮捕されたもののな ぜか不起訴になり、その後政界に進出し、57年2月に内閣総理大臣に登りつめた岸信介が、< 核技術を保有することこそが、核戦争時代の軍事力の基盤を形成する>、<平和利用にせよ その技術が進歩するにつれて、兵器としての可能性は自動的に高まってくる> と表明した。・岸は首相に就任した3か月後の57年5月7日に参議院で、また14日には外務省記 者クラブで、<自衛の範囲内であれば核兵器の保有は合憲だ>と表明している。 中国の核実験をめぐって(同書2.5) ・中国核実験に早くに反応した学者が核「密約」の若泉敬で、「核兵器はこんにちでは、第一義 的に政治的・心理的兵器であるといえる」と表明。 ・日本の核武装の疑惑を払拭する唯一の道、すなわち日本は将来的にも核武装に手を出すこ とはないという外国にむけての明確なメッセージの表明は、ドイツがやったように、脱原発を宣 言し、原発依存から撤退することしかない。・潜在的核武装を目的として核技術の開発が政治 的に位置づけられたならば、核開発および原子力発電における経済性はもとより、安全性まで もが二の次、三の次の問題にされてしまう。 核不拡散条約をめぐって(同書2,6) ・佐藤栄作は、沖縄返還協定をめぐる交渉をとおして、沖縄への核兵器搬入の「密約」を含め て、米国からの「核の傘」提供の約束を引き出し、他方で国内向けに「核兵器を作らず、持た ず、持ち込ませず」の「非核三原則」を語ることになる。 ・ウラン235原爆に比べてプルトニウム原爆は10分の1ぐらいの費用で作られ、資源や経済に 大きな負担にならない。 ・核燃料サイクルの稼働でもって潜在的核武装論は自己完結する。 ・日本における核武装研究は1960年代後半から、政府内で極秘裏に進められるようになった。 ・アイゼンハワー演説に最初に呼応したのは、国家主義的な政治家であり、そして戦前に統制 経済を指導した官僚であり軍需産業を担った財閥系企業であった。彼らは核に戦後の復活の シンボルを見たのであった。 ・政治家はそこに「一等国」への道を、官僚は電力国家管理の回復を、そして財閥と電力会社 は大きなビジネスチャンスを見出した。…。財閥大企業は原子力発電に疑似軍需産業を見た のである。 ・こうして原子力ムラが形成され、核燃料サイクルの建設という国策が決定された。その背後に あったのは核ナショナリズムであり、その動きを導いた潜在的核武装という政治路線だった。 さて、「核の潜在的抑止力」のために原発維持をと主張していた石破茂が首相になり、既に核 兵器を保有している中国、北朝鮮、ロシアなどの国から日本を保護し続けるには費用がかかり すぎと主張し、「日本が独自の核兵器を開発すべきだ」と提案(2016年3月29日)したトランプが 米国大統領に選出された。 何としても、核ナショナリズムが推進する核兵器と核発電と核 燃料サイクルを終わらせなくてはならない。 |