経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき! その230 2024年10月11日 核発電(原子力発電)は、脱炭素電源ではない、直接的な熱汚 染源である 〜山本義隆<核燃料サイクルという迷宮?核ナショナリズムが もたらしたもの>から(2)〜 |
10月8日の経産省(資源エネルギー庁)総合資源エネルギー調査会基本政策分科会をオン ライン傍聴して驚いた。「エネルギーの国際動向」が論じられたのだが、資源エネルギー庁事務 局の資料に「電源の脱炭素化の推進」が強調され、事務局や委員の発言の中に原子力が脱 炭素電源であるとされているのだ。 再生可能エネルギーは脱炭素電源であるが、原子力は決して脱炭素電源ではない。ここで は、山本義隆さんの書が「CO2排出削減に核発電が有効だというキャンペーンの正否と真偽」 の記述から真実を確認する。 核発電はそのすべての過程で多大なエネルギーを消費し、その際に大量のCO2を生み 出している たとえば100万kwの原発を1年間運転すると ・約30トンの濃縮ウランが必要 そのためにはウラン鉱石を含む岩石や土砂合計300万トン近くをウラン鉱山から掘り出さな ければならず、その採掘にも輸送にも当然大量の化石燃料を必要とする ・使用済み核燃料の後処理と残される核のゴミの長期に渡る保管が必要 その為に要する化石燃料はさらに増大する ・原発は、石油の代わりになるどころか、むしろ化石燃料の浪費を加速する ・火力発電より石油節約的であることを実績値によって証明した原子力発電所は皆無である ・原子炉建設には膨大な量のセメントが使用されている セメントの主成分は炭酸カルシウム(CaCO3)を熱して酸化カルシウム(CaO)としたもので、こ の生産のさいにはCO2が直接多量に発生している ・原発の出力調整の為の揚水式発電が無駄 揚水発電所はコンクリートの城(東電高瀬ダムは霞が関ビルの約30倍)で、揚水式発電所と ダム建設も含めれば、原発の建設自体が甚大なる自然破壊とエネルギー消費。 鉄骨とセメントの膨大な使用が大量のCO2を生み出している 核発電(原発)は直接的な熱汚染源 原子力発電は熱効率が30%あまりできわめて悪く、実際の発電量の2倍程度の熱を環境に 直接棄てている 原発では汲み上げた海水より約7度高温の廃水を海に戻している その水量は、100万kwの原発で毎秒70トン、つまり一級河川並みの量 原子力発電拡大と温室効果ガス排出削減の間には負の相関関係 11990年から2004年までの23か国の調査では、原子力発電拡大に熱心な国ほど、温室効 果ガス削減の達成度が悪い傾向 他方、再生可能エネルギーを増加させている国ではCO2排出量が優位に減少 地球温暖化問題解決には省エネルギー(消費構造・産業構造の変革・転換)しかない 地球温暖化に本当に対処するためには、過剰生産・過剰消費の先進国経済の変革が第一で あり、そのうえでエネルギー源として循環型エネルギーの使用、つまり風力や太陽光のような自 然エネルギーやバイオマスのような生物資源エネルギーへの乗り換えが求められる 以上 |