経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その185 2021年10月4日
放射能汚染水を海に流すな―追4 環境アセスせず放射能から海を守らない環境省
〜環境影響評価法が放射性物質を対象としているにも拘らず、環境省は東電の「海洋放出」大事業のアセスをしない!
トリチウムや他の多核種放射能汚染水を海に流してはいけないことは、本シリーズで何度も書いた。にも拘らず経産省と東電は「海底トンネル1キロ建設」計画を発表し、「海洋放出」と称して本当に海洋投棄するつもりだ。新たな視点も加えて「海洋放出」に反対する。
東京電力が「海洋放出」の具体案を8月25日に発表したので、それを受けて環境省の環境影響評価担当に電話で尋ねたところ、10日後に折り返し電話が入り、やんわりと環境アセスメントをしないと回答した。残念な結果を報告し、今の環境省の放射性物質への取組の問題を指摘する。
 まず、東京電力が明らかにした「海洋放出」の姿を確認しよう。
  
<東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)で発生する汚染水を浄化処理した後の水について、東電は(8月)25日、海底トンネルを設けて原発から約1キロほどの沖合に放出すると発表した。東電は敷地の海側にある既存の放出口から直接放出する案も検討したが、大規模な工事が必要な沖合からの放出を決めた。>   (東京新聞、https://www.tokyo-np.co.jp/article/126793)
 「海洋放出」の姿が具体的に明確になったので、9月16日に環境省大臣官房環境影響評価の担当Moさんに電話で尋ねたところ、「私の一存では答えられない。後日折り返し回答する」との返事。回答が無い中で催促したところ、やっと9月27日に同課のYaさんから電話がかかった。電話の概要を紹介する。

Ya:環境アセスメントをしないという見解は変わっていない。東電が放射線の影響評価をし報告する、IAEAのレビューも受ける、現時点ではそのあたりを注視していく。
私:放射性物質も環境影響評価の対象ではあるのですね?
Ya:はい。
私:地下トンネルなど東電が計画を明らかにした。浚渫もアセスの対象ですね?
Ya:はい。
私:1kmも掘って「海洋放出」ことは大事業。環境アセスをしない判断の根拠が分からない。
Ya:この事業の具体的規模感。それと発電所事業で、また具体的資料が出てきたら注視し、見ていく必要があるのかなと考えている。東電からは中間報告でまだ具体的方針が出ていない。具体的に出てきたらまた考える。
私:東電はタンクが満杯になると言っている。アセスするとしたら1〜2年かかると思う。
Ya:はい。
私:アセスをする・しないの判断を早くしないと東電も困るのでは? 今判断すべきでは?
Ya:環境影響評価法に基づくアセスが必要かどうかも論点としてある。処理水放出による環境への影響を周辺に及ばせないという評価を、どういった方法、やり方があるのか、もいろいろある。必ず環境影響評価法のところで無くてはいけないと言うことでもない、最終的な目的が果たされるのであれば。
そのあたりのことは東電と相談されているであろうエネ庁さんと相談されているであろうと思っている。どういった形で最終的な目的を達成するかは、必ずしも環境アセスだけでなく他の方法もある。
私:参考の為にお聞きしますが、環境アセスメントで放射性物質を扱った例はあるのですか?
Ya:すぐに答える材料を持っていない。
私:2012年でしたか、環境基本法・原子力基本法が改正されて、放射性物質も環境アセスの対象になったと思う。
Ya:はい。
私:その後、放射性物質がアセスの対象になったことがあるのかないのか、把握されているのではないですか?
Ya:心当たりはない。私の把握している範囲では無い。
私:確認すると、環境省としては、エネ庁や東電の動きを注視していくけれども、必ずしもアセスメントで環境を守る訳ではない、と話されたのか?
Ya:はい。
私:納得できません。今稼働している原子力発電所も放射性物質も温排水も流している。本来なら環境基本法の改訂に伴って、アセスメントをやるべきだと考えている。環境省で取組を考えていただかないといけない。今回の東電の「海洋放出」は世界も注目しているしロンドン条約違反ではないか、国連海洋法条約違反ではないか、の声もある。その様な中で、環境省は、環境影響評価法に基づくアセスメントをするべきだと私は考えています。以上をお伝えします。
Ya:伺いました。

皆さんは以上の電話をどう受け止められますか? 環境影響評価法に基づく放射性物質の環境アセスメントから環境省は逃げている。
環境省は、次の法律改正を無視して、改正前と同様に放射性物質の環境影響評価に取り組んでいないのだ。
環境影響評価法の規定による主務大臣が定めるべき指針等に関する基本的事項
http://assess.env.go.jp/files/1_seido/1-3_horei/honbun260627-1.pdf
(平成九年十二月十二日 環境庁告示第八十七号)
最終改正:平成二十六年六月二十七日 環境省告示第八十三号
二 計画段階配慮事項の区分ごとの調査、予測及び評価の基本的な方針
(5) 別表中「一般環境中の放射性物質」に区分される選定事項については、放射性物質による
環境の汚染の状況に関しては放射線の量を把握することにより、調査、予測及び評価を行う
ものとする。


環境省は、エネ庁と東電による30年近くかかるというトリチウム他の放射性物質の「海洋放出」という名の海洋投棄の壮大な事業について、しっかり環境アセスメントをするべきだ。
また、環境アセスメントのみならず、水質汚濁・大気汚染・土壌汚染対策においても、放射性物質から地球環境を守る行政をするべきである。 放射能汚染が最大の地球環境汚染なのだから!
次もご参考に。その177<放射能汚染水を海に流すな!スリーマイルと同様に環境アセスメントをせよ!〜環境影響評価せずに汚染水(「処理水」)を数十年かけて福島の海に流すな!〜>(2021年7月26日)   (http://www.jca.apc.org/~kimum/METIno177.html)
以上