経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その172 2021年5月6日
イチエフ「廃炉」に何世紀かかる? 部分撤去まで百年?、敷地利用可能まで三百年?
〜日本原子力学会「廃炉」報告:世代を超えた取組。尾松亮さん:スリーマイルと違う!〜
 東電福島第一原発(イチエフ)事故後10年を過ぎた。イチエフ「廃炉」は5回も改定された現ロードマップどおりに30年後に「廃炉」が完了するのだろうか?
 絶対にありえない。経産省も東電も原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)もいつまで大嘘をつき続けるのか?
 日本原子学会でさえ、300年程度かかるかもとの報告を出しているのだ。

日本原子力学会<国際標準からみた廃棄物管理―廃棄物検討分科会中間報告―>
https://www.aesj.net/aesj_fukushima/fukushima-decommissioning
 「政府や東京電力等に所属しない日本原子力学会の専門家」が2020年7月に発表した報告(福島第一原子力発電所廃棄物検討分科会 柳原敏主査、新堀雄一副主査)が、
「1Fの廃炉・サイト修復の活動は長期にわたることが予想されることから、1Fサイトを元の状態に戻す(又は有効に利用する)ためには世代を超えた取り組みが必要である。世代間の公平性も十分に考慮し、今の世代が実施出来ること、次の世代に託すことを明らかにして、今の世代で実施すべきことは十分な計画検討の下、エンドステートに向けて早期に取り組むことが重要である。」と結んでいる。
 原子力の専門家がやっと現実的な予測を述べだした様だ。1Fの最終的な状態に着目し、通常炉の廃止措置と区別して「廃炉」と呼び、次の様に報告している。サイト(敷地)の部分利用開始まで約300年?
〇廃止措置の終了条件(実用炉規則)
 核燃料物質の譲渡、施設や敷地の放射能の除去、放射性廃棄物の廃棄、放射線管理記録の引渡し。
〇廃炉のプロセス(IAEAより)
 即時解体と、遅延解体と、原位置処分(放射能の減衰を待つことを基本方針)を紹介
〇廃棄物量(固体廃棄物)
 通常炉と比較して2桁高いとの試算あり
〇1F廃炉・サイト修復で発生する放射性廃棄物の試算例
1−6号機148万トン、 他の施設326万トン 、水処理施設19万トン、
廃棄物処理貯蔵施設3万トン、 サイト修復 288万トン 
合計784万トン(以上、万で四捨五入)
〇4つのシナリオ
 シナリオ1即時・全撤去、シナリオ2 即時・部分撤去
 シナリオ3 安全貯蔵・全撤去シナリオ4 安全貯蔵・部分撤去
〇シナリオ4の時間軸の目安
安全貯蔵まで:約30年程度(中長期ロードマップ)
機器・構造物の部分撤去まで:約100年程度
サイト利用(部分)開始:300年程度
        

日本原子力学会もこれ以上嘘をつき通せないと考え、今のロードマップに「寄り添い」ながら、「廃炉」への道の厳しさを明らかにし出したのだ。

 さらに、尾松亮さんが<「40年後終了」目標の由来を問う>(岩波科学2021年3,4月号)で<変わる前提条件と変わらない「30〜40年」目標>を批判している。
 「デブリ取り出し」の前提条件が変化しているにも拘らず工程終了目標を変えていない。初版中長期ロードマップは、1979年米国スリーマイルアイランド原発2号機(TMI-2)を主要参考例(燃料デブリ取り出し期間4年強)として策定された。しかしながら、増田尚宏東電CDO(当時)が2016年に「スリーマイルでは、燃料は溶けましたが圧力容器から外には出ていません。さらに、我々は3機同時に事故を起こしてしまいました。これが前例とは違う困難さだと思います。ただ、だからといってチェルノブイリのように石棺にすることは違うと思っています。…」と述べている。
 イチエフでは、TMI-2と異なりデブリが圧力容器から出ていて、前提条件が変わっている。
 さらに尾松さんは、「廃炉」の定義や燃料デブリを「放射性廃棄物」として扱うことができるのか、など法制度上の整備が必要と主張している。

 いずれにしても、「廃炉」について経産省も東電もNDFも、「国民」に未だに大嘘をつきとおしているのだ。さらに、例えばNDFのHPに掲げられた<2020年12月14日「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃炉のための技術戦略プラン2020」英語版を公表しました>が示す様に世界にも大嘘をまき散らしているのだ。
 アンダーコントロールの嘘でオリンピックを招致したと同様、私たちの政府は地球上の総ての生き物に恥ずかしいことをし続けている。先が見えない「廃炉」を口実に「放射能汚染水を海に流す」ことも絶対に許されない。
以上