経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき!
その158 2020年12月27日
新テロ攻撃が原子炉にとって最大最悪の脅威! 怖いのは地震・津波・火山だけではない
〜9.11で狙われ、3.11で地震・津波に襲われた原子力発電所〜
 広瀬隆さんが、3.11事故以前から、地球上で飛び抜けて地震多発国である日本列島を「原子炉時限爆弾」(ダイヤモンド社、2010年)と憂いていた。東電福島第一原発事故を経験し、福井地裁樋口裁判長の大飯3・4号機の運転差止判決(2014年5月)や大阪地裁森鍵裁判長の設置許可取消判決(本年12月)などで、司法が主として地震ゆえに稼動を止めるのは当然である。


 一方、「テロ攻撃:原子炉にとっての最大最悪の脅威」(岩波科学12月号)で佐藤暁さんが「原子力安全の全体的な体系における大穴となり得る」と憂いている。詳細は是非原文を読んでいただきたい。
○ハイジャックされた旅客機が原子力発電所を標的に(9.11米国同時多発テロ事件)
 2001年9月11日の同時多発テロ事件で、砲弾もミサイルも積まずに緊急発進したF16戦闘機の女性戦闘機パイロットが、(ハイジャックされた)大型旅客機UA93の撃墜を命じられ、体当たりを決意していた。幸い、UA93の乗客たちの英雄的な行動で人の少ないところに墜落させられた(“F-16 pilot was ready to give her life on Sept.11")。
 さらに事件後に明らかになったことは、ハドソン川沿いにあるインディアン・ポイント原子力発電所(ニューヨークから40km)が標的候補に上がっていたこと。一民間施設である原発が標的候補になったのは、彼らにとってとてつもなく特別な費用対効果があったから。
○航空機テロに対する原発の耐性
 冷却水を供給し続けなければならず、制御建屋や分電盤などを収納した電気系統建屋が破壊されてはだめ。PWRプラントは一旦火がついたら消すこともできず、格納容器が火あぶりとなる。BWRプラントは、……、長期間の電源喪失(SBO)から脱出できない。議論が盛んな米国でも、航空機テロは設計基準脅威から除外されている。
○テロリストの脅威に対する防衛
 自爆も怖れない原子炉を標的にしたテロリストにとって、不可逆的な原子炉事故に至らしめ、多量の放射性物質を外部環境に放出することが成功。原子炉事故は当分の間勝手に進行するという点でテロリストの味方。自衛消防隊の空気ボンベを背負って入ればあちこちの配管に爆弾を仕掛けて破断させることができる。……。
 日本では、設計基準脅威が「保安情報」だとして一切その内容を語らないが、秘密にする本当の理由は、守備力の低さが露呈するからではないか。
 そして佐藤さんは「テロリストによって誘発される重大事故の影響は、解析によって予想された重大事故をはるかに凌ぐ可能性があり、住民の避難も間に合わない。」と結んでいる。

 米国では、各原子力発電所には本物の自動小銃を持った平均120〜130人の守備隊が配置されているそうだ。地震・津波・火山のみならず、航空機テロなど人為の脅威にもさらされいてる原子力発電所は、日本列島に張り巡らされた地雷のようだ。
 こういった点からも、原子力発電所は絶対に稼働させてはいけない。
以上