経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき! その155 2020年11月19日 経産省は核ゴミ問題についての「日本学術会議」の提言を尊重せよ! 〜再稼働問題判断は高レベル放射性廃棄物の保管容量確保及び暫定保管計画作成が条件〜 |
安倍政権・菅政権が日本学術会議を嫌い圧力をかけている理由は、軍事研究に関する声明が気に入らないからだけではない。「高レベル放射性廃棄物の処分について」の提言も気に入らないからであろう。日本学術会議は次の回答・提言を発表した。 A 回答「高レベル放射性廃棄物の処分について」(2012年9月11日) http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-k159-1.pdf B 提言「高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策提言―国民的合意形成に向けた暫定保管」(2015年4月24日) http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-t212-1.pdf 安倍政権・菅政権と経産省・資源エネルギー庁は、これらを全く無視して、核ゴミ問題の検討よりも原発再稼働を優先させている。 ここではBの12の提言を要約して紹介する。 (1) 暫定保管の方法と期間 提言1 暫定保管は、乾式で、密封・遮蔽機能を持つキャスクあるいはボールト貯蔵技術による地上保管が望ましい 提言2 暫定保管の期間は原則50年 (2) 事業者の発生責任と地域間負担の公平性 提言3 高レベル放射性廃棄物の保管と処分については事業者の発生責任が問われるべき。国民は公論形成への積極的な参加を。 提言4 暫定保管施設は電力会社の配電圏域内に電力会社の自己責任において立地選定及び建設を行うことが望ましい。 提言5 立地候補地の選定及び施設の建設と管理に当たってはその圏域の意向を十分に反映すべき。 (3) 将来世代への責任ある行動 提言6 原子力発電による高レベル放射性廃棄物の産出という不可逆的な行為を選択した現世代の将来世代に対する世代責任を真摯に反省するべき。 提言7 原子力発電所の再稼働問題に対する判断は、安全性の確保と地元の了解だけでなく、新たに発生する高レベル放射性廃棄物の保管容量の確保及び暫定保管に関する計画の作成を条件とすべきである。暫定保管に関する計画をあいまいにしたままの再稼働は、将来世代に対する無責任を意味する。 (4) 最終処分へ向けた立地候補地とリスク評価 提言8 最終処分のための適地について全国くまなくリスト化すべき。 提言9 暫定保管期間中になすべき重要課題は、地層処分のリスク評価とリスク低減策を検討することである。地層処分の安全性に関して、原子力発電に対して異なる見解を持つ多様な専門家によって、十分な議論がなされることが必要。 (5) 合意形成に向けた組織体制 提言10 高レベル放射性廃棄物問題を社会的合意の下に解決するために、原子力事業の推進に利害関係を持たない国民の意見を反映した政策形成を担う総合政策委員会(仮称)を設置すべき。 提言11 福島第一原子力発電所において、原子力発電関係者に対する国民の信頼は大きく損なわれた。市民参加に重きを置いた「核のごみ問題国民会議」を設置すべき。 提言12 科学技術的問題の諮問機関の設置は、自律性・第三者性・公正中立性を確保し社会的信頼を得られるようにする。 以上、イチエフ事故直後の2012年と2015年に日本学術会議が科学・技術者も一般市民も誰が見ても当然の提言を政府に提出している。が、安倍政権も経産省も、それらを、特に提言6,7,9を、無視して原発を再稼働している。寿都町や神恵内村で文献調査の検討が報道され、経産省はこれを口実に核ゴミ問題に進展があったそぶりをして、原発再稼働・原発推進を続けている。経産省は、日本学術会議の提言を全く無視して、イチエフ事故前の姿勢と全く変わらない愚かな施策を推進している。経産省にとっても日本学術会議は目の上のたんこぶなのだ。 私たちは、日本学術会議が提案したように、核ゴミ問題を曖昧にしたままの原発再稼働は無責任だと責め続けねばならない。 以上 |