経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき! その14 2016年12月27日 事故リスクを過少評価して、原発発電コストを過少計算 〜牧野淳一郎さん(神戸大)が岩波「科学12月号」で指摘〜 |
経産省(エネ庁)は原発の発電コストを、キロワット時当たり8.9円(2011年)、10.1円〜(2015年)、10.2円〜10.4円(本年)と計算している。 その中で「事故リスク対応費用」をキロワット時当たり「0.3円〜」としているが、これが根拠がない過少計算である。 2015年4月の「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告 発電コストワーキンググループ」では、「事故リスク対応費用0.3円〜」を次のように導いている。 ○福島原発事故による事故対応費用を、約12.2兆円と想定し、出力規模等により約9.1兆円に補正。 ○事故確率は、「事故は40年に一度=2000炉年に一度」という見積りをし、さらに追加安全対策の効果を反映して「4000炉年に一度」と設定している。 ○損害費用は増える可能性があるために下限(0.3円)提示。廃炉・賠償費用等が1兆円増えると0.04円/kWh増加。 ここにはいくつもの間違いがある。 国内における原発の事故実績を計算すると、50基の原発を平均30年程度運転して3基が大事故を起こしたのだから、事故は500炉年に1回。「事故は40年に一度=2000炉年に一度」は経産省が発明したなんの根拠もない過小評価法。さらに、追加安全対策の効果を反映して「4000炉年に一度」と2倍にすることにも何ら根拠がない。 このようにして、経産省は事故確率を1/8に計算している。 以上の検討から牧野さんは次のようにまとめた。 経産省は、2011年の「コスト等検証委員会」の2000年に1度から、追加安全対策によって事故確率が減るとして4000年に1度に設定しているが、「当初の数値に根拠がないのだから、この経産省の試算もまったく意味がないものだが、そのような無意味な数値が根拠があるものであるかのごとくに発表されたり政策決定に使われたりしているのが現状である。」 経産省が出す「計算」は、常に疑って見ないといけない。 これらの積み重ねで原発推進政策をでっち上げているのだ。 参考;牧野淳一郎:「3.11以後の科学リテラシーno.49」(岩波「科学12月号」) 以上 |