経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき! その139 2020年5月3日 高木仁三郎さんの20年前の提言IMA(InternationalMOXAssessment)を受け止めよ! 〜プルサーマル発電を直ちに中止し、再処理も断念せよ〜 |
故高木仁三郎さん(原子力資料情報室)が20年以上前に<プルサーマル計画の実施に対してきわめて否定的>な研究報告書をまとめていた。 <MOX年超の軽水炉利用の社会的影響に関する包括的評価、IMA=InternationalMOXAssessment(1997年)>(報告書英文335ページ、『MOX総合評価』七つ森書館、『要約報告書』原子力資料情報室)だ。 共同研究者は9人:高木仁三郎、上澤千尋、西尾漠、マイケル・シュナイダー(仏)、フランク・バーナビー(英)、保木本一郎、細川弘明、アレクサンダー・ロスナーゲル(独)、ミヒャエル・ザイラー(独)で、その結論は次のとおり。 <プルトニウム分離とMOXの軽水炉利用という路線のデメリットは、核燃料の直接処分の選択肢に比べて圧倒的であり、それは、産業としての面、経済性、安全保障、安全性、廃棄物管理、そして社会的な影響のすべてにわたって言える。換言すれば、プルトニウム分離の継続とMOXの軽水炉利用の推進には、今や何の合理的な理由もなく、社会的な利点も見出すことができない>(『原子力神話からの解放』(高木仁三郎、講談社α文庫)。 以下には『市民の科学』(高木仁三郎、講談社学術文庫)の「第2章プルトニウム軽水炉利用の中止を提言する―プルサーマルに関する評価報告」の一部を引用する。 <○1グラムのプルトニウムが4000万人もの一般公衆の吸入の年摂取限度に相当する毒性がある。ウランを燃料とする原子炉は1年におよそ200キログラムのプルトニウムを生産する。…。プルサーマル計画では、このプルトニウムが大量に分離、搬送、備蓄される。 ○高速増殖炉の計画が1995年12月の「もんじゅ」事故以降見通しがつかなるなかで、”余剰プルトニウム減らし”の側面も含んで、にわかに日本のプルトニウム利用の中心計画となってきた。 ○総合エネルギー調査会で推進の基本的方向性(1999年1月20日)、原子力委員会決定、閣議了解(2月4日)、電力会社計画発表(2月21日)と矢継ぎ早に早期実行発表。 ○2010年までに全電力会社の合計16〜18の原発でプルサーマルを実施する全体計画。 ○電力会社の計画の説明には、問題の広がりに対する包括的な評価がまったく伴わず、政府の決めた方針だから実施したい、といっているだけの印象。> 同第2章には、「プルトニウムの危険性」、「MOX利用は核拡散を促進する」、「不十分な保障措置と核テロリズムの脅威」、「事故の危険性の増大」、「再処理は廃棄物処理を難しくする」、「経済的、社会的問題」と、プルサーマル発電の危険性を縷々説明している。 20世紀末にこれだけ詳細な包括的報告書・提言が出されたにも拘らず、経産省は21世紀に入って5回もプルサーマル発電と核燃料サイクルの推進を主張する「エネルギー基本計画」を立てている。電力会社も「国策だから」しょうがないと嫌がっているにも拘らず。 関電・九電・四電のプルサーマル発電を直ちに止めるべきだ。規制委が、5月に六ヶ所再処理工場の審査合格を出そうとしている。新型コロナウィルス対策でも経産官僚が大失敗を続けている。亡国の省経産省、亡国の庁資源エネルギー庁に命を奪われてはならない。 以上 |