経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき! その130 2019年12月30日 トリチウム等汚染水は長期保管すべき、海にも大気中にも放出してはいけない 〜「多核種…処理水…小委員会」は2018年夏の説明・公聴会を忘れてはいけない〜 |
12月23日(月)に経産省・資源エネルギー庁が「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第16回)」を開催した。 これを受けて例えばNHKは次のように報じた。 <トリチウムとは? なぜ「海か大気中に放出」なのか?> 2019年12月23日 18時13分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191223/k10012225521000.html <福島第一原子力発電所にたまり続けるトリチウムなどを含む水を、どう処分するのか。 国の小委員会は、基準以下に薄め、「海に放出する」か「大気中に放出する」という案を中心に議論を進めることを提言する素案を示しました。 風評被害を懸念する地元からは強い反発が予想され、今後の議論が注目されます。> (NHKウェブより) 私も傍聴していて、国際原子力ロビーUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)のモデルを持ち出して大気放出や海洋放出の影響を説明により、海や大気中への放出を決定するかと心配したが、委員のモデルに対する批判的発言等から「風評被害」指摘が続き、委員長も事務局も強引に決めることができず、継続審議になってほっとした。更に、記者ブリーフィングで事務局が「ゼロベースでもう一度案を整理する」と回答したことで胸をなでおろした。しかしながら、よく考えるとこの小委員会の進行は不当だ。2018年8月末の説明・公聴会で小委員会とタスクフォースについて沢山の厳しい指摘があったにも拘らず、それが1年半近く経って忘れ去られているのだ。 この説明・公聴会を事務局は、@処分方法についてA貯蔵継続についてBトリチウムの生物影響についてCトリチウム以外の核種の取扱いについてDモニタリング等の在り方についてE風評被害対策についてF合意形成の在り方についてGその他 とまとめている。https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/pdf/010_02_00.pdf 特に、A貯蔵継続についての次の意見に対してきっちり議論していない。 小委員会では、委員より、「現在タンクは適切に管理されており一番リスクが低い状況にあり、この点について理解が進んでいない」という意見が出されており、タンクへの貯蔵の継続を含めて検討されるべきである。 当分の間、保管を行い、分離技術など新しい技術を開発促進する時間を確保すべきである。 長期保管を行えば、減衰により処分量を減らすことが出来る。仮に120年待てば、処分量は千分の一になる。 タンクの建設は本当に限界か。大型タンク、地下貯蔵、洋上タンク等による長期保管を検討すべきである。 管理を続けるコストは、貯蔵することによる健康および経済面のメリットに比べて大きい。さらに大型タンクの管理作業上のリスクもある。また、貯蔵継続であっても風評被害は避けられない。 貯蔵継続は選択肢としてありうべきだが、状況の固定化を招き、最終的な選択肢を減らすことにしかならないのではないか。 法的には敷地外保管も可能である。それにも関わらず、敷地内しか選択肢がないかのように誘導するのは誤っている。福島第一周辺の土地で保管すべき。 仮に長期保管を行うならば、県外、特に東京電力管内での保管も行わなければ、他県の人々にとれば、福島に問題を押し付けておけばいい他人事、という形になってしまうことを強く懸念する。 ? さらにBトリチウムの生物影響についても未だに科学的に何も安全性が確認されていない。 また、E風評被害対策についても、海洋放出による漁業・水産業など地場産業への影響、近隣諸国の輸入規制、観光業などへの影響をどう定量的に予測するのかも不明である。 また、<原発事故による放射能汚染は、消費者が福島県のものを「買わない、選ばない」という合理的な根拠となり得ることから「風評被害」ではなく「実害」である。>との公聴会での指摘に、小委員会はまともに取り組んでいない。いずれにしても、世界の原子力ロビーが望む「トリチウム汚染水の海洋放出」決定を許してはならない。 |