原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう! その40 2024年6月6日 福島県で9年連続多発が確認された「胃がん」と「胆のう・胆管がん」 〜全国がん登録データを読み解く(明石昇二郎、週刊金曜日24年5月27日号から)〜 |
その18、その39で週刊金曜日に掲載された明石昇二郎さんの渾身のレポートから福島の厳しい事実をお知らせした。2024年5月27日号にその続編<福島県で9年連続多発が確認された「胃がん」を黙殺する環境省の「調査研究」>が発表されたので紹介する。残念ながら今も福島県のがんが増えてきている。 「全国がん登録」(全国がん罹患モニタリング集計)から、全国と同じ割合で福島県でもがんが発生していると仮定して実際の罹患数を比較する検証を行った。疫学の手法で「標準化罹患率比」(SIR、standarized incidence ratio)を計算する方法である。全国平均を100として、それより高ければ全国平均以上、低ければ全国平均以下を意味する。福島県の胃がんについてSIRを比較した結果、次の表が得られた。 表 福島のSIR(2008年〜2019年、全国を100として小数点以下四捨五入) -2008年,09年,10年,11年,12年,13年,14年,15年, 16年,17年,18年,19年, 20年 (胃がん) 男性:88,94,101,92,111,111,119,117, 116,120,120,127,132 女性:87,94,101,101,109,110,109,120, 139,120,118,132,138 (胆のう・胆管がん) 男性:79,93,116,114,111,126,131,113, 126,115,126,116,131 女性:97,117,103,112,113,113,122,122, 134,115,124,131,133 胃がんと胆のう・胆管がんで2011年から数値が急増しかつ3桁になって全国平均より多くなってきている。 <国立がん研究センターでは、SIRが110を超えると「がん発症率が高い県」と捉えている。福島県における胃がんのSIRは2012年以降、男女とも全国平均を上回る高い値で推移しており、最新の2019年と2020年のデータでは、男性で126.9、131.8、女性では131.8、138.3と、異常に高い値が記録されている> すなわち、<福島県では12年以降、9年連続で胃がんが「有意な多発」状態にあることが判明した>。 また、甲状腺がんについても20年男性は「有意な多発」状態だ。 さらに、胆のう・胆管がんも最短潜伏期間の「4年」を経過した2016年以降では、男女ともに福島県で「有意な多発」が確認された。 他のがんなど詳しくは週刊金曜日を参照願いたい。 なお、その39では2021年3月に国連科学委員会(UNSCEAR)が「福島の住民の放射線被ばくの健康影響は今後も考えられない」との奇異な報告書と結果に抗議の声と伝えた。今レポートでは、この“健康影響解析”をなぜか「環境省」の研究調査事業「福島県内外での疾病動向の把握に関する調査研究」として、国立がん研究センター祖父江友孝「がん対策研究所」副所長が主導しているらしい(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/reports/hkR3_2.html)。眉に唾をつけて騙されない様にしないといけない。 以上 |