原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう!
その39   2022年7月30日
福島県で8年連続多発が確認された「胃がん」(広島・長崎と同様)と「胆のう・胆管がん」
〜全国がん登録データを読み解く(明石昇二郎、週刊金曜日7月15日号)〜
 その18で明石昇二郎さん渾身のレポート(週刊金曜日6/7)から福島の厳しい事実をお知らせした。2022年7月15日号にその続編が発表されたので加筆する。残念ながら、今も福島県のがんが増えてきているのだ。
 「全国がん登録」(全国がん罹患モニタリング集計)から、全国と同じ割合で福島県でもがんが発生していると仮定して実際の罹患数を比較する検証。疫学の手法で「標準化罹患率比」(SIR、standarized incidence ratio)を計算して、全国平均を100として福島がどうなるかを比較して、次表が得られた。

表 福島のSIR(2008年〜2019年、全国を100として小数点以下四捨五入)
 -2008年、09年,10年,11年,12年,13年,14年,15年、
16年、17年、18年、19年-
(胃がん)
男性:88,94,101,92,111,111,119,117,
116,120,120,127
女性:87,94,101,101,109,110,109,120,
139,120,118,132
(胆のう・胆管がん)
男性:79,93,116,114,111,126,131,113,
126,115,126,116
女性:97,117,103,112,113,113,122,122,
134,115,124,131
 
 多くのがんで2011年から数値が急増しかつ3桁になって全国平均より多くなってきていた。 <国立がん研究センターでは、SIRが110を超えると「がん発症率が高い県」と捉えている。福島県における胃がんのSIRは2012年以降、男女とも全国平均を上回る高い値で推移しており、最新の2019年データでは、男性で126.9、女性では131.8と、異常に高い値が記録されている>
 すなわち、<胃がんになった福島県の何%かは原発事故での被曝が原因である恐れがある。> 
 また、胆のう・胆管がんも最短潜伏期間の「4年」を経過した2016年以降では、男女ともに福島県で「有意な多発」が確認された。
 また、男性の甲状腺がんは罹患数と罹患率がともに上昇している(図表略)。
他のがんなど詳しくは週刊金曜日を参照願いたい。

 昨年3月に国連科学委員会(UNSCEAR)が「福島の住民の放射線被ばくの健康影響は今後も考えられない」と発表、疑問の声が多数上がっている。この7月にもUNSCEARが福島で講演会を開いたが、報告書と結論の撤回を求める声が多発した。
=>国連科学委員会のメンバーが県立医科大学で講演 07月20日 18時42分
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20220720/6050019402.html
  国連科学委の対話集会、大荒れ?誤り指摘に「結論変えず」
https://www.ourplanet-tv.org/45319/