原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう!
その36   2021年12月23日
IAEAとICRPと経産省と規制委と東電と外務省と環境省とで、放射能汚染水を海に流すな
〜「北西太平洋漁場」を汚すな、放射性物質は拡散せず閉じ込めるべき〜
東電が、11月17日に「多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の海洋放出に係る放射線影響評価結果(設計段階)について」を公表し、12月21日には原子力規制委員会に「海洋放出」実施計画を申請した。
改めて、IAEAとICRPと日本政府がタッグを組んで、東電福島第一原発に溜った放射能汚染水を「海洋放出」という名の海洋投棄しようとしている。それは許されない。

1 「海洋放出」という名の海洋投棄は許されない
(1)放射性汚染物は拡散してはならない
毒はまき散らしてはいけない、閉じ込めるべきだ。一旦タンク保管されている放射性汚染物を意図的に海に流すことは許されない。ひとたび海に流してしまえば二度と回収することができない。

(2)希釈しても「死の灰」は減らない
毒は水を混ぜても減らない。総量規制するべきだ。

(3)世界三大漁場を放射能汚染してはいけない
福島県を含む東日本の海が、世界三大漁場のひとつ「北西太平洋漁場」である。「海洋放出」を決定するまでの検討過程においても「北西太平洋漁場」の水産については全く議論されなかった。太平洋を汚し続けてはいけない。
(4)タンク保管が可能
検討過程においてもまたその後の公聴会などにおいても、1000基に及ぶタンクを新たに増設することが可能であることを確認した。トリチウムの半減期12.3年を考慮すればなおさら保管するべきだ。
(5)姿も時期も不明の「廃炉」を口実に海を汚すな
ロードマップを5回も改訂したにも拘らず、廃炉の姿も時期も全く未定で、廃炉まで100年以上300年ぐらいかかる。関係省庁及び東電が廃炉の姿などを見直すことが必要と認めているにも拘らず、廃炉を口実に「海洋放出」することは絶対に許されない。
(6)外務省はロンドン条約・議定書や国連海洋法条約を遵守すべき
条約が「領海」に「人工海洋構築物から海洋へ故意に処分すること」を禁止しているにも拘らず、外務省はこれらの条約を守ろうとしない。近隣諸国から批判が出るのは当然だ。
(7)環境省は環境影響評価法に基づき環境アセスをすべき
環境省は、環境基本法改正にも拘らず、国連人権理事会の指摘をも無視して放射性物質の環境影響評価から逃げている。この様な環境省の態度では国内外の地球環境を保全することはできない。

2 東電の「放射線影響評価」報告は全く信用できない
(1)評価目的があいまい
30年以上「海外放出」し続ける計画の評価であるから、30年以上の長期に渡って以下を確認しないといけない
〇太平洋全域への数十年に及ぶ経年影響評価 
〇近海にどれだけ蓄積していてこれからどうなるか
〇海底土への蓄積とその魚介類への影響
(2)海域モニタリング
放射能汚染が続く海底土の調査を強化し「海洋放出」の影響評価をするべき。IAEA 支援によるモニタリングは信用できない。
(3) 運用管理値 8核種を選定してこれらに対して「運用管理値」を設けているが、その目的も根拠もあいまい。
(4)海底トンネル1km「放出」の意味
基準を満足する様に希釈しておきながら、再取水しない為に1km先に海洋放出するとしているが、このことは放出水の汚染のひどさを表しているのではないか。
(5)毎日の汚染水の増減が不明確
今、日量140立法メートルの汚染水が流入している(凍土壁溶融で増加が心配)。もし「海洋放出」をする場合に、陸上の汚染水の増減がどうなるかを明確にするべき。
(6)国際放射線防護委員会ICRPの内部被曝の過少評価
ICRPは、ヒバクは人々に押しつけ、経済的・政治的利益は原子力産業と支配層にもたらす国際的委員会である。ICRPが内部被曝を過少評価していることは周知の事実。ここでも、内部被曝の影響を一般公衆の線量限度1mSv/年と比較しており、間違いである。目薬効果を身体全体に換算できない。
(7)国際原子力機関IAEAは信用できない
1953年にアメリカ合衆国大統領アイゼンハワーによる国際連合総会演説「平和のための核」を契機とし、IAEAは1957年に創立された。放射性物質による環境破壊と健康被害を過小評価する組織で全く信用できない。経産省・東電がIAEAの後押しで「海洋放出」することは許されない。
以上