原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう!
その32   2021年4月7日
ICRPにもIAEAにもUNSCEARにも騙されてはいけない
〜西尾正道「被曝インフォデミック」と梶山ーグロッシ会談〜
 本年3月11日発行の西尾正道著「被曝インフォデミック」(寿郎社)が面白い。インフォデミックとはWHOの造語で「偽情報の拡散」。同書がICRP(国際放射線防護委員会)を痛烈に批判しているのでその一部を紹介する。

〇1946年設立のNCRP(米国放射線防護審議会)の陣容で1950年に設立されたICRPは、1952年には内部放射線被曝に関する第2委員会の審議を打ち切り、最も深刻な内部被曝を隠蔽する歴史を始めた。
〇モーガン談:ICRPは、原子力産業界の支配から自由ではない。原発事業を保持することを重要な目的としている。
〇ICRPは国際的原子力推進勢力から膨大な資金援助を受けているが、実際は単なる民間のNPO団体
〇ICRPは、研究機関でなく、調査機関でもなく、国際的な「原子力ムラ」の一部で、目的は原子力政策の推進。
〇ICROのエセ科学のいくつか
・放射性物質が微粒子としても存在することを軽視
・シーベルト(Sv)という実効線量の単位では人体への影響を正確に評価できない
・外部被曝とは、まきストーブにあたって暖をとること、内部被曝はその燃え盛る”まき”を小さく粉砕して飲み込むこと
・……

 同書には、内部被曝の恐ろしさとトリチウムの健康被害についても詳しく書いてある。本シリーズでも今まで述べて来たように、私たちはICRPに騙されないで放射線被曝を論じないといけない。

 一方、原子力の平和利用の促進の為の組織IAEA(国際原子力機関)に対してもいつも警戒しないといけない。
 例えば、本年3月23日にはIAEAグロッシ事務局長と梶山経産相とがオンライン会議を開き、東電福島第一原発のトリチウム等放射能汚染水の「海洋放出」という名の海洋投棄を両者で進めた。
「処理済み汚染水、IAEAが処分方法の安全性評価へ」(朝日新聞3月23日、https://www.msn.com/ja-jp/news/money/処理済み汚染水-iaeaが処分方法の安全性評価へ/ar-BB1eSgqH)
<東京電力福島第一原発にたまる処理済み汚染水について、梶山弘志経済産業相は23日、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長とテレビ会談をした。政府が処分方法の基本方針を決めた時に、IAEAが科学的に評価し、安全性を国際社会に発信するよう協力を要請した。グロッシ氏は「全面的に協力する」とした。>
 私たちは、原子力の維持・推進を図るこれらの国際機関に騙されずに「海洋放出」を止めねばならない。
以上