原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう! その27 2020年2月1日 「推定被曝線量と悪性率に有意な関係がある」ことを示す加藤・山本の2つの論文 〜「甲状腺検査評価部会の結論は再検討すべき」(牧野淳一郎)〜 |
牧野淳一郎さん(神戸大学)が「岩波科学」連載「3.11以後の科学リテラシー」(2月号)で、独立の別の著者による2本の論文を紹介している。福島県県民健康調査の被曝影響隠しに反論する貴重な論文が、原子力マフィアたちの妨害を掻い潜って公表されたのだ。 小児甲状腺がんの罹患率(年間100万人中に3人程度)に比して、福島県では既に273人以上の患者が確認されていて、誰が考えても東電福島第一原発事故による放射線被曝影響によると考えられる。にも拘らず県民健康調査側から否定する論文が発表され、世界に偽り情報が流布されている中で、この2つの論文はとても重要だ。 1 加藤聡子 ○Dose dependence of pediatric thyroid cancer prevalence in the 6 years after the Fukushima nuclear power plant accident(雑誌Advances in Pediatric Research) https://www.longdom.org/articles/dose-dependence-of-pediatric-thyroid-cancer-prevalence-in-the-6-years-after-the-fukushima-nuclear-power-plant-accident.pdf 公開データを使って前回(その26)に紹介した大平論文(統計に間違い)と同様の地域区分を使って統計解析。地域ごとに被曝量推定値をだし、それと悪性率の回帰分析を行って、実効線量と悪性率にかなり綺麗な直線関係があることを示している。 ○参考:加藤聡子「福島甲状腺がん発見率は 被ばく線量に比例して増える」 http://www3.kcn.ne.jp/~katoh/Thyroid.pdf#search='加藤総子+福島' 2 山本英彦 ○Association between the detection rate of thyroid cancer and the external radiation dose-rate after the nuclear power plant accidents in Fukushima, Japan https://journals.lww.com/md-journal/fulltext/2019/09130/association_between_the_detection_rate_of_thyroid.59.aspx 文部科学省による福島県内1710カ所の測定結果テーブルを使って市町村ごとに線量率をだして悪性率との関係をみて、線量率と悪性率には明確な関係がみられた。 ○参考:山本英彦【放射線被ばくと甲状腺がん多発の関係を証明/医問研論文を国際医学専門誌が掲載】 http://www.mdsweb.jp/doc/1600/1600_03c.html 以上から、牧野淳一郎さんは、<手法は違うが2本の論文のどちらも、推定被曝線量と悪性率には有意な関係があると結論している。これは、甲状腺検査評価部会に提出された解析資料を作ったグループの論文とは逆の結論である。>とし、<「甲状腺検査本格検査(検査2回目)に発見された甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」という甲状腺検査評価部会の結論は再検討が必須である。>と結んでいる。 私たちは、福島県県民健康調査に対して「真実は沈まない」と訴え続けねばならない。 以上 |