原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう! その16 2019年6月1日 紹介「ICRP体制に終止符を!―内部被曝の真実」 〜矢ケ崎克馬さん・西尾正道さんが紹介するICRPの毒牙〜 |
「ちきゅう座」に掲載された「ICRP体制に終止符を!」(松元保昭)を紹介する。 http://chikyuza.net/archives/92635 https://drive.google.com/file/d/16snw3CYH2G6E0yJghVZu09bcQxNKHY_z/view 80ページの長文だが、非常に興味深い。本シリーズ「その1」も参ご参考に。 以下に一部をピックアップ。 ○ICRP(国際放射線防護委員会)は、1950年に発足し、アメリカの核戦略に従って、核戦争、核兵器開発、原子力発電の維持・推進のために、被曝の科学あるいは放射線防護学の側面で、犠牲者を隠し、見えなくさせる強力な土台を作ってきた。 ○ICRPのリスク基準は、遺伝子学や分子生物学が確立される以前の段階でつくられ、あらゆるところで、「内部被曝」の犠牲者隠しを行ってきた。 ○ICRP体系は真理探究を行う科学ではなく、「社会的・経済的」「戒律」。 ○IAEAとともに原発を推進するICRPへの根本的批判から、ECRR(欧州放射線リスク委員会)が生まれた。 ○セラフィールドで観察された小児白血病集団の症例数とICRPモデルの予測値との間に300倍という差が生じた。 ○チェルノブイリ原発事故の放射線影響が多様に解明されてきた。それらを ICRP や国連科学委員会は、放射線の影響とはせずに「放射線恐怖症」によると処理し続けてきたが、母親の胎内の生命や白血病の小児や土手ネズミやシジミ蝶などの生命体が「放射線恐怖症」で被害を受けるはずがない。 スイスやスウェーデン北部の白血病とセシウム汚染の解明から、ICRPモデルが 600 倍ものリスクを過小評価していることが実証された。また、ドイツ国内原発の5km 以内において小児白血病が有意な増加を示していて、放射線との因果関係が証明された。また、チェルノブイリ原発事故当時、母親の胎内にいた小児に 43%もの小児白血病の増加があることが確認された。 さらに劣化ウラン弾の影響や、大気圏内核実験の発がん影響についても解明が進み、ICRPが無視している低線量領域とくに内部被曝では、ICRP リスクモデルに 100 倍から 1000 倍の誤りがあることがはっきり認められた。 【ICRPの毒牙】 第1【放射線起因疾病の定義】分子生物学の発展などを無視し続けて、放射線の人体被害は「がん、白血病、その他2〜3の疾病」に限定 第2【吸収線量評価】ICRPの評価方法は、「放射線によって持ちこまれたエネルギーを臓器当たりに固定して」計算。内部被曝の局所的な、継続した被曝を平均化単純化して、実際の被曝領域内の大きな被曝密度を、数値的に極端に過小評価。 第3【低線量域のリスク評価】内部被曝と外部被曝的低線量領域のリスク評価を、原爆の大線量直接被曝領域からの直線外挿に依った。加えて、「100mSv以下の放射線起因の疾病のデータは無い」という彼らの隠ペいの結果を被害の事実に置き換えるキャンペーンを張っている。 第4【功利主義】公益を得るためには犠牲もやむをえない、という功利主義。これは日本国憲法の根底にある「個人の尊厳」を真っ向から否定するもの。 第5【支配体制】IAEA,WHO,UNSCER(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)、核保有国と軍事同盟を結ぶ関連諸国政府等によるICRPを維持し強制する機構の全面的支配。日本においても医学、保健学、原子力工学、等のあらゆる教育課程の基礎にICRPがあり、関連する専門家がICRPで教育され、研究もICRPで展開される。国際的原子力ムラが完成している。 今、福島で行なわれている施策の背景を確認し、安倍政権を厳しく糾弾しないといけない。 なお、ICRPの公衆被曝限度年間1ミリシーベルト未満に対して、ECRR(欧州放射線リスク委員会)は公衆への最大許容線量は0.1ミリシーベルトを超えるべきでないと主張している。 日本ではICRP勧告をも無視して、年100mSvで安全、年20mSvに帰還を強要している。 |