原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう! その1 2018年12月10日 中川保雄「放射線被曝の歴史」(技術の人間)が糾弾する「ヒバク強制」 〜復興庁「放射線のホント」、文部科学省「放射線副読本」に騙されるな!〜 |
東電福島第一原発事故の原子力緊急事態宣言の下に、復興庁が「放射線のホント」を発行し、文部科学省が「小学生のための放射線副読本〜放射線について学ぼう〜」と「中学生・高校生のための放射線副読本〜放射線について考えよう〜」(平成30年9月)を発行している。 人類が、核兵器開発・原子力発電によって、地球上に厖大な核のゴミを残し放射線被曝を人間を含む多くの生物に強制していることを隠し、放射線は怖くないよと子どもたちを騙すとんでもないパンフ・副読本だ。 多くの人々が騙されることが無いようにと願って、シリーズ「原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう!」を発信する。 初回は1991年9月発行の故中川保雄著「放射線被曝の歴史」(技術の人間、1991年、増補版2011年)を引用・紹介する。 ○今日の放射線被曝防護の基準とは、核・原子力開発のためにヒバクを強制する側が、それを強制される側に、ヒバクがやむをえないもので、我慢して受忍すべきものと思わせるために、科学的装いを凝らして作った社会的基準であり、原子力開発の推進策を政治的・経済的に支える行政的手段なのである。 ○放射能の怖さや放射線被曝の危険性に関する公的なあるいは国際的な評価は、核兵器を開発し、それを使用し、その技術を原発に拡張した人々と、それらに協力してきた人々によって築きあげられてきたのである。 ○被害をどうみるかが問題とされる事柄を、加害した側が一方的に評価するようなことが、しかもそれが科学とされるようなことが、まかり通ってよいものであろうか。 ○1958年の夏にICRP勧告と国連科学委員会報告が出そろい、放射線問題に関する国際的議論の大勢が固まった。スイスで開催された会議には、ICRP議長シーベルトの個人的な召集というかたちをとって、次の11組織が参加し、ICRPの主導の下に協同して事に当たろうと誓いあったのである。”赤信号、みんなで渡れば怖くない”と。 「国際放射線防護委員会(ICRP)」「国際放射線単位委員会」「国際放射線会議」「国連科学委員会(UNSCEAR)」「国際原子力機関(IAEA)」「ユネスコ」、「世界保健機関(WHO)」「国際労働機関(ILO)」「食糧農業機構(FAO)」「国際科学組合評議会(ICSU)」「国際標準組織(ISO)」 これは、まさに原子力開発を前提とした、放射線被曝問題に関する国際的協調体制の構築であった。…、この協調体制は、その後も陰に陽に表れて、重要な政治的な役割を果たす。放射線や原子力の問題を見る場合、決して見落としてはならない隠れた原子力推進体制なのである。 ○とりわけイギリスのセラフィールド再処理工場の労働者の放射線被曝と、周辺地での小児白血病多発との関係を調査した『ガードナー報告』は、…強い衝撃を与えている。子供が生まれる前に、その半年前であれば1レム(10mSv)程度被曝しただけで、その子供が白血病にかかる危険性がイギリス平均の7〜8倍に増加し、集積線量でも10レム(100mSv)程度被曝すると、同じく6〜8倍増加することが1990年の2月に発表された。 ○ICRPとは、ヒバクは人民に押しつけ、経済的・政治的利益は原子力産業と支配層にもたらす国際的委員会である。 以上、ICRPもIAEAもUNSCEARも信用できないことと、原子力ロビーたちによる放射線被曝の押付けに騙されていはいけないことを、故中川保雄(元神戸大学教養部教授)が27年も前に厳しく訴えていた。 「放射線のホント」(復興庁)、「放射線副読本」(文科省)は正に放射線被曝を我々に押付けるものだ。さらに、ICRPでさえ公衆被曝の限度を年間1mSvと定めているにも拘らず、安倍政権は「年100mSvで安全・年20mSvで帰還」を福島県民に強要し、これらの資料はこのとんでもない棄民政策を隠蔽している。「放射線のホント」と「放射線副読本」の大ウソを糾弾しよう。それぞれに対して撤回を求める署名募集活動が行われている。 以上 |