サンプル・レジュメ2
(作成者)和田進・神戸大学
(使用箇所)2002年5月3日の「播磨憲法集会」(兵庫県)
(講演対象)一般向け
(講演内容)有事法制
(注意事項)実際の集会では別紙資料あり
1 有事立法三法案の内容…別紙参照
2 「備えあれば憂いなし」の欺瞞性・ごまかし
…「自然現象」と「社会現象」の決定的相違
・地震・台風・火山爆発…「防止」不可能、「予知」体制+被害を最小にする「防
災体制」+「復旧」体制
・不審船、テロ、ゲリラ、武力攻撃、戦争…「社会現象」
…「防止」することが可能であり「防止」
にこそ全力をあげる必要
…日本国憲法の立場
…日本は武力行使、戦争を決してしないことをアジアをはじめとする世界に対して
誓約
…「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生
存する権利を有することを確認する」
…差別と抑圧、恐怖と貧困なき世界の実現のために日本が全力を
…「戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認」
…「備え」はその拡充と行使への不断の誘惑をもたらすことへの歴史的総括・教訓
3 「軍事優先」の初めての法体系の登場の「恐ろしさ」
…「憲法で戦争放棄を宣言している日本にとって、自衛隊の創設に次ぐ戦後の安全保
障政策の重大な転換点となろう」(久保文雄『朝雲』02.4.25)
…西本元統合幕僚会議議長「正直なところ、次のより重要なステップに進むために一
つのはずみをつけるという意味もある」
…「軍隊」「軍事力行使」に最高の公共性を認める…国民の平和意識の転換を
…「軍事優先」+「備えあれば憂いなし」=軍事優先の日常化…国民を動員した「武
力攻撃事態演習」
…国民の協力努力義務
…「国民は、国及び国民の安全を確保することの重要性にかんがみ、…対処措置を
実施する際は、必要な協力をするよう努めるものとする」(8条)
…北海道新聞17日付け社説「国民の協力を義務化すれば、さまざまな理由で協力し
ない人、できない人を事実上非国民扱いする環境を生む」
…国民の権利の制約の当然視
…「(日本国憲法の保障する国民の自由と権利)に制限が加えられる場合は、…必
要最小限のものであり、かつ、公正かつ適正な手続きの下に行なわれなければな
らない」(3条4項)
…「事態対処法制の整備」(22条)
…「国民の協力が得られるよう必要な措置」
…「法律施行の日から2年以内を目標として実施」
…社会・経済の統制…「社会秩序の維持に関する措置」…外出禁止令、集会・表現
の自由への制約;「国民経済への影響最小」…争議行為への誓約
4 日本に対する武力攻撃に対処する法案ではなく、アジア・太平洋地域における日米
共同軍事行動への国民動員の法案
…有事立法問題の経緯
…1978年、福田内閣時に政府の政策に(78年、ガイドライン締結)
1999年、「研究」から「制定」へ(97年、新ガイドライン締結、99年、周辺事
態措置法成立)
…新ガイドライン体制、周辺事態措置法、テロ対策特措法の下での有事立法
…「沖縄タイムス」社説
…アーミテージ・ナイレポート
…「共同作戦計画」「相互協力計画」
…01.9統幕事務局長と在日米軍副司令官とで署名
…02.2 日米共同指揮所演習に外務・国土交通・厚生労働・海上保安庁・警察庁の
五省が視察
…「武力攻撃」ではなく「武力攻撃事態」に対処する法案
…「武力攻撃事態」=「武力攻撃(武力攻撃の恐れのある場合を含む)が発生した
事態または事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるにいたった事態をいう」(2条
2号)
…「周辺事態」=「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃にいたる恐れ
のある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与え
る事態」
…「周辺事態」 「予測される事態」 「恐れのある事態」 「武力攻撃」
…「防衛計画の大綱」の転換
…76年(日本防衛)→95年(日本防衛、周辺事態、国際貢献)→05年(国際
秩序維持を本務に
…「敵国」の上陸侵攻を想定した部隊編成から海・空重視への転換促進)
5 アメリカの危険な先制攻撃戦略
…ブッシュ大統領の一般教書・予算教書演説、「核態勢見直し」報告書
…「戦時下宣言」「大軍拡予算」「通常兵器と核兵器の融合」
…「4年毎の国防計画見直し」(01.9.30)
…「脅威対応型」から「能力対応型」への転換
…「前方抑止」「強制進入部隊」「海外軍事基地網の強化」
…93〜94年の「北朝鮮核疑惑」先制攻撃時点
…日本に対して1059項目の支援要求
6 日本にテロ・ゲリラ・ミサイルを呼び込む法案
…「テロ・ゲリラ対策」の名の下に軍事国家化・治安国家化・管理国家化の進展
…「盗聴法」「住民基本台帳法改正」「少年法改正」+「メディア規制三法」
7 「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関す
る法律案」の名称のごまかしと「軍」の本質
…自衛隊法3条(自衛隊の任務)「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全
を保つため」
…「国」と「国民」の区別、「国民の安全」の登場
…81年版防衛白書「守るべきものは、国民であり国土であると同時に、多様な価値
観を有する国民にそれを実現するため、最大限の自由を与える国家体制であると考
えるべきではなかろうか」
…司馬遼太郎『街道をゆく六 沖縄・先島への道』
…「軍隊は軍隊そのものを守る」
8 安保・自衛隊体制に課してきた制約の国際社会への提起
…私たちの側からの国際平和構想を
…「平和」を「国内問題」としてではなく「国際問題」として語りうる力量を
@「専守防衛」…保有兵器の限定、海外派兵の禁止(海外軍事基地撤去)、集団
的自衛権行使禁止
A軍事費の上限設定…環境保護、差別と貧困解消への支出
B武器輸出禁止三原則
C非核三原則