●7月24日(月)
終日、雑務、原稿。複数の取材先と取材交渉。
ライターなのに取材アポが苦手なんて問題である。
●7月25日(火)
夕方、中野にて、自主ビデオ制作グループ、ビデオプレスの最新作『人らしく生きよう 国鉄冬物語』ほか1本の上映会に参加。国鉄労働組合の歴史を通じて、日本国家の労働者に対する抑圧の歴史が見えてくる。同時に自分の良心や仲間を決して裏切らずに戦い続けた人々のドラマでもある。人にとって仲間とは何か、働くこととは何か、職場とは何かを考えさせられる秀作。なお、僕も同ビデオの制作賛同人に入っている。
●7月26日(水)
某出版社の編集者と打ち合わせ。
書店で『日経サイエンス』9月号でヒトゲノム解析特集をやっているのを見つけて、購入する。『ニュートン』のゲノム特集には失望したが、こちらは情報量、質ともにきわめて高く、かゆいところに手が届くような誌面づくりになっていて関心。もちろん、サイエンティフィックな情報を得るうえでは便利、という意味だが。
●7月27日(木)
国立国会図書館で資料あさり。主に「外来生物」について。
気分が悪くなり、昼ごろに切り上げて帰宅する。
といいつつ、近所の小さな本屋にふと立ち寄ったところ、探していたある本を見つけた。新刊なのだが、大きな本屋でしか置いていないと思っていたので、意外に感じてその場で購入した。しかし店員のカバーの付け方があまりに乱雑で幻滅する。商品に対する誇りも愛情も感じられなかった。最近感じているのだが、ライター、編集者から書店員まで、本にかかわわる職業の人はたくさんいるが、そのうちどれだけの人が、本(や雑誌)が好きでその仕事に従事しているのだろうか? そういえば最近、僕を取材したあるライターに「好きなノンフィクションは?」と尋ねてみると、「単行本はほとんど読まないので……」という回答が帰ってきた。こういう人がつくっている本(雑誌)は、いいものにならないのは当たり前だろう。面白いものがなければ、書店もやる気をなくす。ひどすぎる状況である。
●7月28日(金)
新聞屋からもらったタダ券で映画を見ようと劇場に行ったのだが、ろくなものがなかったので、『グラディエーター』をもう一回観てしまう。
ローマ時代の闘技の話なのだが、闘技で大衆を熱狂させておけば、大衆は自由を奪われていることも忘れてしまう、という元老員のセリフが印象に残った。「闘技」をもっと広い意味での「エンターテインメント」と言い換えれば、現在、世界各国の政府が企業と組んで行なっていることと同じではないか。
知り合いの印刷業者に立ち寄って、新しくつくってもらった名刺を受け取る。これまで「ライター」としていた肩書きを「ライター/ジャーナリスト」に変更する。理由は……本誌の読者ならば、それなりに想像してもらえるとありがたい。
●7月29日(土)
終日、雑用。
●7月30日(日)
ライターのM氏に誘われて、彼の友人のカメラマン氏がなにやら賞を取った報道関係の写真展を見学。食事をしながら情報交換。(つづく)
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