ニュース・ダイジェスト 2008年

2008年12月20日

第239回 麻生邸見学ツアー弾圧でウソ丸出しのマスメディア

 人権と報道・連絡会の第239回定例会が12月15日夜、水道橋の東京学院で開かれ、約30人が参加した。テーマは「麻生邸見学ツアー弾圧事件と報道」。
 10月26日午後、若者たちが催した「62億ってどんなだよ、麻生首相のお宅拝見」ツアーで、参加者3人が警視庁公安部に「公務執行妨害」などで逮捕された。
 メディアはこの不当逮捕を「無届けデモ」「中止警告を無視」「警察官に暴行」などと報じたが、ツアーに同行した複数のフリージャーナリストが逮捕の瞬間を撮影しており、その映像が「救援会ブログ」に流されて弾圧の実態、公安情報を垂れ流した報道のウソを暴いた。例会では、このビデオを上映し、3人の救援に奔走した「フリーター全般労組」副委員長・山口素明さんに、弾圧と救援活動、報道の問題点などについて報告していただいた。

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2008年10月28日

第238回 三浦和義さんの死を哀悼し、日・米当局に抗議する

 「三浦和義さんの死を哀悼し、日・米当局に抗議する」――人権と報道・連絡会の第238回定例会が10月20日夜、水道橋の東京学院で開かれた。
 この日は「三浦さんの不当拘束とロス審理」をテーマに討論する予定だったが、10月11日夜、突然もたらされた訃報を受け、急きょ三浦さんを追悼しつつ、日米捜査当局及び「疑惑報道」を再燃させたメディアに抗議する場に切り換えた。
 例会には、「ロス疑惑報道」開始以来24年に及ぶ三浦さんの闘いを知る人たちなど約60人が参加。三浦さんと一緒に長い間裁判を闘ってきた弘中惇一郎弁護士、2月の拘束後、早期解放を求めて活動してきた「三浦和義氏の逮捕に怒る市民の会」の河村シゲルさん、客野美喜子さん、人権と報道・連絡会発足当初から三浦さんを支援し、「疑惑報道」を糾弾してきた山際永三事務局長、浅野健一世話人、月刊『創』の篠田博之編集長らが、三浦さんを偲びつつ、米捜査当局による拘束と突然の死、「自殺」と断定した報道などについて、意見を述べた。
 死因については多くの不明部分があり、ロスの弁護団による追及が続いているが、例会討論では「三浦さんの命を奪ったのは、無罪が確定した人を再び拘束し、長期監禁した米捜査当局とそれに協力した日本政府、それを煽ったメディアであることは明らか」として、その責任を追及していくことで一致した。

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2008年10月01日

第237回 「秋葉原事件と報道」検証

 人権と報道・連絡会の第237回定例会が9月22日夜、水道橋の東京学院で開かれ、約40人が参加した。テーマは「秋葉原事件と報道」検証。
 6月8日、東京・秋葉原で起きた殺傷事件について、派遣や請負労働者のNPO「ガテン系連帯」共同代表・池田一慶さんから、事件の背景、秋葉原事件に対するメディアの対応などについて報告を受けた。一連の報道は、事件を個人的資質や家庭環境などに焦点を当てるものが多く、派遣労働者を「犯罪予備集団」のように描く報道もあった。その一方、派遣先の「関東自動車工業」の責任に言及する報道は見られず、派遣労働の実態、解雇の背景にある不況やトヨタの減産を分析した報道はほとんどなかった。池田さんは、自身の派遣労働者としての体験や労働運動の取り組みにもふれ、「雇用の不正規化が進む中で大企業が未曾有の利益を得ている社会状況こそ、きちんと掘り下げて伝えてほしい」と話した。

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2008年07月23日

第236回 鹿児島志布志事件の冤罪性と報道

 人権と報道・連絡会の第236回定例会が7月14日夜、水道橋の東京学院で開かれ、約40人が参加した。テーマは「志布志冤罪事件と報道」検証。2003年4月の鹿児島県議選で当選した中山信一県議ら13人(うち1人は公判中に死去)が公選法違反に問われた裁判で、鹿児島地裁は昨年2月に12人全員に無罪判決を言い渡した。
 架空の事件捏造、長時間に及ぶ自白強要の取り調べ、否認すると保釈を認めず長期勾留する「人質司法」など、この事件は冤罪を繰り返す違法捜査の実態を白日の下にさらけ出した。
 例会では、395日も勾留され、一時は県議辞職に追い込まれた(その後再当選)中山さんから、冤罪被害体験・捜査の実態を話していただいた。この事件は警察の犯罪です」と言う中山さんは、「無罪が出ても、今も何かあったと思っている人がいる。これは報道人が正すべきです」と話した。また、この事件と報道を調査・検証した浅野健一さんからも、逮捕当時、警察情報を垂れ流したメディアの問題点について報告を受けた。

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人権と報道・連絡会9月の定例会(予告)

 次回定例会は9月22日(第4月曜日)午後6時から、水道橋の東京学院で。テーマは「秋葉原事件と報道」検証。
 6月8日、東京・秋葉原で起きた殺傷事件では、被疑者と家族を袋叩きにする報道が繰り広げられる一方、 「派遣」で働く25歳の青年が、事件直前まで携帯サイト掲示板に書き込み続けた言葉が、大きな衝撃を与えました。しかし、メディアは「犯人糾弾」の建て前を崩さず、事件の背景にある「派遣労働」の問題点についても、逆に派遣労働者を「犯罪予備集団」のように描く報道が目立ちました。
 こうした状況に、派遣労働者のユニオン「ガテン系連帯」は、「派遣の実態」を報道関係者に説明する懇談会を開き、「キレル原因を作ったのはだれか」と問いかけました。小谷野毅事務局長は「追及されるべきは、派遣労働者を使い捨てにする派遣先企業、すなわち関東自動車工業と親会社のトヨタではないのか」として、4月から1年間の派遣契約を結びながら5月末、突然「中途解約」を通告したこと、その背後にトヨタの「コスト削減」大号令があったと指摘しています。例会では、小谷野事務局長をゲストにお招きし、大手メディアが伝えない「事件の背景」とともに、労働者を犯罪予備軍としか描かない報道の問題点について、報告していただく予定です。

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2008年07月03日

第235回 仙台北陵クリニック事件上告棄却を受けて

 人権と報道・連絡会の第235回定例会が6月16日、水道橋の東京学院で開かれ、約40人が参加した。テーマは「北陵クリニック事件の上告棄却決定」。2001年1月、北陵クリニックの准看護師だった守大助さんが「患者の点滴に筋弛緩剤を混入した」として逮捕され、5件の殺人・殺人未遂の罪で起訴された「事件」で、最高裁第三小法廷は2月25日、守さんの上告棄却を決定した。この「事件」は、『朝日新聞』などメディアが「前代未聞の病院内無差別殺傷事件」として大々的な犯人視報道を展開、世論・裁判に大きな予断・影響を与えた。例会では、逮捕直後から守さんの弁護に取り組んできた阿部泰雄弁護団長から、「事件」の背景と捜査の実態、今回の最高裁決定の問題点、再審に向けた取り組み、刑事裁判とは別に「被害者」や北陵クリニックの実質経営者が、民事訴訟で守さんや阿部弁護士を訴えていることについて報告していただいた。

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2008年05月26日

第234回 三浦和義さんの早期解放に向けて

 人権と報道・連絡会の第234回定例会が5月12日、水道橋の東京学院で開かれ、約30人が参加した。テーマは「三浦和義さんの早期解放に向けて」。2月22日、米警察がサイパンで三浦和義さんの身柄を拘束、以来すでに3か月近くも不当拘束が続いている。例会2日前にロス郡地裁で開かれた「逮捕状無効請求」をめぐる審理で、裁判所は「現時点で三浦さんをロスに移送する必要はない」としたが、逮捕状の有効性に関しては判断を保留、次回6月16日(日本時間17日)に再度審理されることになった。
 例会では、「三浦和義氏の逮捕に怒る市民の会」呼びかけ人の山際永三・人報連事務局長が、ロス・サイパンの裁判状況などを説明。
 今回の身柄拘束で争点となりそうなアメリカの共謀罪と「一時不再理」について、山下幸夫弁護士から報告を受けた。「怒る市民の会」は5月10日に「三浦和義氏の即時釈放を求める共同声明」を発表、その後も「呼びかけ人」を募り、早期解放に向けて支援活動を続けている。

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2008年04月30日

第233回 富山冤罪事件の当事者から聞く真相

 人権と報道・連絡会の第233回定例会が4月14日、水道橋の東京学院で開かれ、約40人が参加した。テーマは「富山冤罪事件・柳原浩さんの闘い」。柳原さんは2002年に富山県で起きた強姦・同未遂事件で逮捕され、懲役3年の有罪判決を受けて服役した。しかし仮出所後に真犯人が逮捕され、昨年10月、富山地裁高岡支部で再審無罪判決をかちとり、逮捕から5年ぶりに冤罪を晴らした。
 しかし、再審判決は「でっちあげ」や誤判の原因・責任を問わず、無実の罪で苦しめられた柳原さんに謝罪もしなかった。柳原さんは「なぜ自分は逮捕され、服役させられたのか」を明らかにしようと、近く国家賠償請求訴訟を起こす。例会では、再審の過程で名前・顔も明らかにし、冤罪被害回復・再発防止のために闘っている柳原さんから、自白強要の取り調べ、無実の訴えに耳を貸さなかった弁護人や裁判所、メディアの犯人視報道などについて話していただいた。

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2008年03月31日

第232回 「痴漢冤罪と実名報道」、あるNHK職員の場合

 人権と報道・連絡会の第232回定例会が3月17日、水道橋の東京学院で開かれ、約40人が参加した。テーマは「痴漢冤罪と実名報道被害」。
 昨年6月、都内に住むNHK職員Yさんが帰宅途中の電車内で眠り込み、顔が女性の頬に触れて「痴漢」扱いで逮捕される「事件」があった。Yさんは3日後に釈放されたが、新聞・テレビは釈放後に「NHK職員が痴漢行為で逮捕」などと実名報道し、不起訴になっても報道しなかった。Yさんの代理人は11月、報道各社に、①釈放後にもかかわらず、実名報道した理由は何か、②不起訴処分を伝えて名誉回復を図ってほしい、と申し入れた。その結果、NHK以外は「不起訴」を報じたが、実名報道については各社とも「非」を認めなかった。例会では、メディアへの申し入れなどに取り組んだ代理人・大山勇一弁護士が「事件」の概要と実名報道による被害、申し入れに対する各社の対応などを報告、討論した。

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2008年03月04日

第231回 裁判員制度と犯罪報道

 人権と報道・連絡会の第231回定例会が2月18日、水道橋の東京学院で開かれ、約30人が参加した。テーマは「裁判員制度と犯罪報道」。
 裁判員制度が09年5月に始まるのを前に、日本新聞協会は1月16日、「裁判員制度開始にあたっての取材・報道指針」を公表した。指針は「報道に当たって配慮すべき事項」として「捜査段階の供述内容がそのまま真実であるとの印象を与えない」などとするきわめて抽象的なもの。「具体的なルールづくりは報道各社に委ねる」とし、結局、各社に対応を任せた。例会では、浅野健一世話人が、裁判員制度と犯罪報道をめぐる新聞協会、最高裁、日弁連、新聞労連などの方針や取り組みを紹介。問題を先送りした今回の新聞協会指針では、裁判員制度の導入に伴って「報道法規制」が強行される危険性があるとして、日弁連・新聞労連などが提案する「報道評議会」などメディア責任制度の早期確立を呼びかけた。

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2008年01月27日

第230回 JR浦和電車区事件判決と報道を検証

 人権と報道・連絡会の第230回定例会が1月21日、水道橋の東京学院で開かれ、約40人が参加した。テーマは「JR浦和電車区事件と報道」。この事件は02年11月、JR浦和電車区の運転士らJR東労組の組合員7人が、別の組合員に組合脱退・退職を迫ったとして「強要罪」で逮捕・起訴され、344日間もの長期勾留を受けたもの。「事件」の背景には、平和運動に取り組む労組を潰そうとする公安警察の意図があったが、その一審で東京地裁は7月、7人全員に懲役1~2年の有罪判決(執行猶予つき)を言い渡した。7人は即日控訴したが、その1か月半後の8月末、JR東日本は裁判係争中にもかかわらず、「有罪判決」を主な理由に6人を懲戒解雇処分した。例会では、「被告人」にされ、解雇された梁次邦夫さんと小黒加久則さんから、「事件」の経過と判決の問題点、解雇処分の不当性、さらに逮捕時の新聞・テレビ報道や裁判中に行われた『週刊現代』の「過激派」キャンペーン報道など、一連の政治弾圧と報道の実態について報告を受けた。

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