ニュース・ダイジェスト 2006年
2006年12月26日
第219回 山梨キャンプ場殺人事件の裁判と報道
人権と報道・連絡会の第219回定例会が12月11日、水道橋の東京学院で開かれ、約40人が参加した。テーマは「山梨キャンプ場殺人事件」。03年10月、山梨県都留市のキャンプ場で日雇い労働者3人の遺体が発見され、建設会社社長Aさんら6人が殺人、逮捕監禁容疑などで逮捕された事件で、甲府地裁は10月、「主犯」とされたAさんに死刑を言い渡した。この事件では、Aさんは傷害致死については因果関係を否定、殺人2件は冤罪を訴えている。事件の背景には、日雇い労働者の状況や処遇、暴力団関係者の関与など複雑な問題がからんでおり、捜査過程にも「共犯者」の供述変遷などさまざまな問題があるが、メディアは警察の事件像にそって、Aさんを「3人殺害の主犯・実行犯」と断定的に報道した。例会では、弁護団の坂根真也弁護士から事件の概要、裁判・判決の問題点を報告していただくとともに、人報連事務局が事件当時の報道について問題点を報告した。例会にはAさんの親族も各地から参加、参加者に裁判支援を訴えた。
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2006年10月13日
第218回 警察の裏金とメディアの関係検証
人権と報道・連絡会の第218回定例会が10月2日夜、水道橋の東京学院で開かれ、約40人が参加した。
テーマは「警察の裏金とメディア」。北海道警の裏金作りを内部告発した元道警釧路方面本部長・原田宏二さんから、警察の裏金作りの実態と構造、内部告発した動機と経緯、裏金問題をめぐるメディアの報道姿勢などについて報告を受けた。
原田さんは、警察の裏金が長年温存されてきた原因の一つとして、事件報道で警察から情報をもらうことに汲々とし、権力チェックの役割を放棄してきたメディアの権力癒着を指摘。また、道警の裏金問題を追及してきた『北海道新聞』が警察の「揺さぶり」に屈し、裏金追及報道を大きくトーンダウンさせている現状も紹介、困難な状況のなかで闘いを続けている道新記者と内部告発警察官への支援を訴えた。
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2006年09月16日
第217回 犯罪被害者の報道被害と被害者の権利
人権と報道・連絡会の第217回定例会が9月4日夜、水道橋の東京学院で開かれ、約30人が参加した。テーマは「犯罪被害者の報道被害と被害者の権利」。事件・事故の被害者は、事件発生段階でマスメディアの「集団的狂乱取材」、興味本位な報道の対象にされ、大きな報道被害を受けてきた。その一方、最近の裁判報道では「被害者の声」を強調し、被告人を感情的に断罪する報道が目立っている。また、被害者団体からは「被害者の権利」として「刑事裁判への参加」を求める声が高まり、「犯罪被害者等基本法」やその「基本計画」で、被害者の裁判参加の制度化が検討されている。例会では、世話人の山口が被害者の報道被害について最近の事例を中心に問題点を報告。さらに、被害者運動が「報復感情」を煽る警察・報道に悪用され、裁判参加でも「被告人の人権」と対立させられ、検察側に利用される危険性について問題提起した。
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2006年08月30日
第216回 秋田の2児死亡事件集団的過密報道検証
人権と報道・連絡会の第216回定例会が7月24日夜、水道橋の東京学院で開かれ、約40人が参加した。テーマは「秋田2児死亡事件の報道検証」。今年5月、秋田県藤里町で小学校一年生の男児が殺害された事件で、メディアは4月に水死体で見つかった女児の母親を標的に、24時間監視の集団的人権侵害取材・報道合戦を繰り広げた。一部週刊誌は逮捕前から犯人視報道を始め、6月4日に彼女が逮捕されると、新聞・NHKも加わった大々的な報道合戦となり、さらに7月18日の女児殺害容疑による再逮捕でも同様の犯人断定報道が繰り広げられた。例会では、女性逮捕後、秋田の現地で女性の家族や弁護人、メディア関係者などを取材・検証した浅野健一さんから、「メディアの集団的取材による人権侵害」の実態と問題点について報告を受けた。
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2006年07月02日
第215回 弁護人バッシング報道を検証
人権と報道・連絡会の第215回定例会が6月19日夜、水道橋の東京学院で開かれ、約70人が参加した。
テーマは「刑事裁判と弁護の役割・・弁護人バッシング報道検証」。3月に山口県光
市事件の上告審口頭弁論に弁護人が「欠席」した問題で、メディアは弁護人が事前に欠席届を出していたこと(最高裁は弁論が開けないのを承知で弁論期日を迎えた)を伝えず、「遺族の怒り」を増幅報道し、弁護人を一方的に非難するバッシング報道を繰り広げた。例会では、そのターゲットになった安田好弘弁護士が、「弁論欠席」の経緯とバッシングの実態、光市事件の裁判の問題点、近年の「処罰感情」の高まり、それを利用した検察の「重罰化・死刑適用範囲の拡大」の動き、その流れに抗する弁護士の責務などについて、包括的に現状と問題点を報告。
質疑・討論では、それらのテーマとともに、「被害者の人権」「裁判員制度」をめぐ
っても活発に意見が交わされた。「公開リンチ化する裁判と報道」との闘いは、ますます重要な課題になっている。
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2006年05月29日
第214回 「鹿砦社」言論弾圧事件、松岡氏から報告受ける
人権と報道・連絡会の第214回定例会が5月15日夜、水道橋の東京学院で開かれ、約40人が参加した。テーマは「鹿砦社」言論弾圧事件。月刊誌『紙の爆弾』などを発行する兵庫県西宮市の出版社「鹿砦社」の松岡利康社長が昨年7月、大手パチスロ機器メーカー「アルゼ」と阪神タイガース球団に関する出版やネット上の記事をめぐり、神戸地検に名誉棄損容疑で逮捕、起訴された。
出版関係者が出版に関して名誉棄損で逮捕されたのは、76年の「月刊ペン事件」以来29年ぶり、起訴されたのは95年の「噂の真相事件」(編集長らを在宅起訴)以来10年ぶり。検察は松岡さんを約6か月も勾留し、懲役1年6月の重刑を求刑した。
民事で争われるのがほとんどの名誉棄損事件で、検察はなぜ、これほどの強権的介入・言論弾圧に乗り出したのか。例会では、松岡さんから、逮捕と裁判の経過、その背景にある問題などを詳しく話していただいた。神戸地裁で行われている裁判は5月19日に結審し、7月4日に判決が言い渡されることになった。
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2006年05月08日
第213回 仙台北陵クリニック事件控訴審判決問題
人権と報道・連絡会の第213回定例会が4月17日夜、お茶の水の中央大学駿河台記念館で開かれ、約50人が参加した。テーマは「北陵クリニック事件」控訴審判決と報道。
仙台市の北陵クリニックに勤めていた准看護師・守大助さんが01年1月、「点滴に筋弛緩剤を混入した」として逮捕され、計5件の殺人・殺人未遂罪で起訴された「事件」で、仙台高裁は3月22日、一審無期懲役判決を支持、控訴棄却の判決を出した。
昨年6月に始まった控訴審の審理はわずか4回。田中亮一裁判長は弁護側が求めた鑑定、証拠・証人調べをすべて却下、被告人質問も弁護側最終弁論もさせず、法廷で判決期日指定もしない異常な訴訟指揮を行い、判決公判でも弁護人、守さんらを次々退廷させた。例会では、息子の無実を訴えてきた守さんの母・祐子さんから二審判決やマスコミ報道への思いを話していただいた。また阿部泰雄弁護団長から「事件」の本質、二審の問題点などを報告していただき、参加者の間で司法の実態、上告審の課題などを話し合った。
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2006年04月12日
第212回 和歌山カレー事件の上告審問題
人権と報道・連絡会の第212回定例会が3月20日夜、お茶の水の中央大学駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。テーマは「和歌山カレー事件の上告審に向けて」。98年7月に起きたこの事件で、メディアはセンセーショナルな犯人断定報道を繰り広げて、逮捕された林真須美さんを「犯人」と信じる世論が形成された。一審・和歌山地裁は02年12月、動機も直接証拠もなく、検察側のいう「状況証拠」だけで有罪と認定する死刑判決を言い渡し、二審・大阪高裁も05年6月、控訴を棄却した。例会では一審から弁護活動に携わってきた小田幸児弁護士が、裁判と報道の問題点、上告審に向けた課題を報告。また、林さんを支援してきた三浦和義さんが「林さんが公正な裁判を受けることができるよう力を」と訴え、上告審の闘いを支えるために「林真須美さんを支援する会」の結成を提唱、例会参加者に支援活動への参加・協力を呼びかけた。
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2006年03月07日
第211回 立川反戦ビラ弾圧、逆転有罪判決の問題
人権と報道・連絡会の第211回定例会が2月27日夜、水道橋の東京学院で開かれ、約30人が参加した。テーマは「立川反戦ビラ弾圧の高裁判決と報道」。2年前のこの日「立川自衛隊監視テント村」の3人が自衛隊官舎に「イラク派兵反対」を訴えるビラを投函して逮捕された事件で、東京高裁は昨年12月、一審の無罪判決を棄却し、3人に罰金刑の有罪判決を言い渡した。
例会では当事者の大洞俊之さんと「立川反戦ビラ弾圧救援会」のメンバー2人から、高裁判決の問題点を中心に報告・問題提起をうけた。報告・討論では、市民の表現手段である「ビラ」をさまざまな法律を悪用して押さえ込もうとする弾圧の実態、それを追認する裁判、上告審での闘いと法的な争点、さらには逮捕や判決を伝えるメディアのありようなどについて、突っ込んだ議論が交わされ、上告審に向けた闘いを、法廷内外でさらに広げていくことが確認された。
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2006年02月09日
第210回 布川事件の再審と報道を検証
人権と報道・連絡会の第210回定例会が1月23日夜、中央大学駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。テーマは「布川事件の再審と報道」。昨年9月に再審開始決定(水戸地裁土浦支部)が出た布川事件について、冤罪被害者の桜井昌司さんと秋元理匡弁護士から、事件の概要、裁判の経過、再審開始決定の要点、報道の問題点などを報告していただいた。桜井さんは29年もの獄中生活を強いられた後、96年に仮釈放され、もう1人の冤罪被害者・杉山卓男さんとともに再審無罪に向けて闘い続けている。
例会では自白強要の実態を詳細に話し、恵庭事件など現在も続発する冤罪の作られ方を、ユーモアたっぷりに参加者に伝えた。また、秋元弁護士は、再審開始決定のポイント、証拠隠しの実態のほか、有罪判決の決め手とされた目撃証言が新聞の逮捕報道写真に影響されたものだったことなど、事件当時の冤罪加担報道の問題点も指摘した。
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