ニュース・ダイジェスト 2005年

2005年12月25日

第209回 若手記者の“事件”はなぜ起こるか、背景事情の検証

 人権と報道・連絡会の第209回定例会が12月12日夜、中央大学駿河台記念館で開かれ、約30人が参加した。
 この日のテーマは「若手記者の“事件”・・その背景を考える」。今年8月以降、朝
日新聞記者の「虚偽メモ」作成、産経新聞写真記者の「写真合成」、埼玉新聞記者の「体育祭記事捏造」、NHK大津放送局記者の「放火未遂容疑」逮捕と、メディア企業で働く若い記者たちの「事件・不祥事」が相次いだ。
 メディア各社はこれらを「記者個人の問題」とし、処分などで対処したが、「事件」
の背景には、メディア産業の「合理化」によってますます深刻化する記者の長時間・過密労働や、事件報道での激しい競争などの問題がある。例会では、新聞労連の美浦克教委員長から、新聞産業の「合理化」の実態、それに対する新聞労連の取り組み、労働者の闘い、美浦さん自身の記者としての体験などの報告を受け、討論した。

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2005年11月28日

第208回 アルカイダ冤罪事件の報道被害、訴訟開始

 人権と報道・連絡会の第208回定例会が11月14日夜、同志社大学東京オフィスで開かれ、約20人が参加した。この日のテーマは「アルカイダ冤罪事件・報道被害訴訟」。
 04年5月、公安警察にでっち上げ逮捕され、「アルカイダ幹部と接触」「アルカイダ
の資金・拠点作りに関与」などと報道されて重大な被害を受けたバングラデシュ国籍のイスラム・モハメド・ヒムさんが10月5日、虚報を流しながら不誠実な対応を改めない共同通信社と日本テレビを相手取り、損害賠償と謝罪広告掲載を求める訴訟を東京地裁に起こした。人権と報道・連絡会では昨年11月のシンポジウムでヒムさんから報道被害の実態をうかがっている。例会では、ヒムさんから改めて被害の実態とその後のメディアの対応、会社再建の状況などの報告を受けた。また、ヒムさんのメディアとの闘いを支援してきた荒井香織さんにも、今回の提訴にいたる経過を説明していだいた。

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2005年11月03日

第207回 仙台北陵クリニック事件・熱海冤罪事件

 人権と報道・連絡会の第207回定例会が10月17日夜、同志社大学東京オフィスで開かれ、約30人が参加した。この日のテーマは「北陵クリニック事件・控訴審の状況」と「熱海冤罪事件・控訴審判決」の二つ。
 メディアが「筋弛緩剤事件」と呼ぶ北陵クリニック事件は、04年3月の一審・仙台地
裁判決(無期懲役)後、今年6月に仙台高裁で控訴審が始まったばかりだが、10月5日の第4回公判で裁判所が弁護側の新鑑定請求を却下し、事実調べを打ち切ると宣告。弁護団が裁判官忌避を申し立てるとそれも簡易却下し、弁護団が退廷する異様な状況となっている。例会では阿部泰雄弁護士が、控訴審の状況と一審判決、さらに逮捕段階から犯人視報道を続けるメディアの問題点を詳細に指摘した。
 熱海冤罪事件では、一部無罪の逆転判決となった二審について、被告人とされた父親を支えてきた山本麻衣子さんが判決概要・今後の取り組みを報告した。

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2005年07月11日

第206回 JR福知山線脱線事故報道の検証

 人権と報道・連絡会の第206回定例会が7月11日夜、同志社大学東京オフィスで開かれ、約40人が参加した。テーマは「JR脱線事故と報道」検証。死者107人を出した4月25日のJR福知山線脱線事故と報道について、映画『人らしく生きよう・・国労冬物語』を作ったビデオプレスの松原明さんと佐々木有美さんが問題提起。
 同志社大学の学生が犠牲者になったこともあり、事故直後に現場を取材した浅野健一さんからも報告を受けた。
 松原さんらは事故の背景に「国鉄分割・民営化」の問題があるとの視点から取材・撮影を進めており、例会では制作中のビデオの一部も上映していただいた。マスメディアの報道は、事故の本質に迫らず、情緒的な被害者報道、感情的なJR・職員バッシングに流れる傾向が強く、取材・報道被害も生み出している。例会では、3人の問題提起を受け、事故報道のあり方についてさまざまな視点から討論した。

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2005年06月13日

第205回 宇都宮知的障害者の冤罪と報道

 人権と報道・連絡会の第205回定例会が6月13日夜、同志社大学東京オフィス(大手町)で開かれ、約40人が参加した。テーマは「知的障害者の冤罪と報道」。
 今年2月、宇都宮地裁で審理中の強盗事件で別の「真犯人」が見つかり、検察が異例の「無罪論告」をする冤罪が明るみに出た。冤罪被害者は重度の「知的障害」者。別件で逮捕されて2件の強盗を「自白」させられ、起訴されていた。例会では、この冤罪事件をスクープした下野新聞記者・板橋洋佳さんから、事件と報道の概要などの報告を受けた。
 冤罪が明白になった後も、警察・検察は「男性が調べに迎合した」「自白にだまされた」などと弁明しており、下野新聞は調査報道でその問題点を追及し続けている。板橋さんは、重い「知的障害」者を冤罪に陥れる司法の実態と構造、それを伝えるメディアの役割など、日ごろの事件報道の反省も含めて話し、参加者に大きな感銘を与えた。

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2005年05月16日

第204回 群馬県警の裏金などを内部告発して処分された事件

 人権と報道・連絡会の第204回定例会が5月16日夜、同志社大学東京オフィス(大手町)で開かれ、約50人が参加した。テーマは「警察裏金と内部告発」。群馬県警の裏金問題を内部告発し、その報復を受けてでっち上げ逮捕された元警部補・大河原宗平さんから、裏金の実態、それを告発した経緯、報復の懲戒処分やでっち上げ逮捕、それに対して今年3月に起こした国家賠償訴訟の概要などについて報告を受けた。
 でっち上げ逮捕の際には、新聞など主要なメディアが警察発表を鵜呑みにした報道で大河原さんの名誉を毀損する一方、肝心の裏金問題を報道せず、「権力の広報機関」化を露呈した。大河原さんは、裏金問題以外に交通取り締まりの実態や犯罪統計のからくりなども指摘、「明るい警察の実現」に向けた改革の必要性を熱っぽく訴えた。

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2005年04月18日

第203回 卒業式ビラまき逮捕続発、高校校長・警察・報道の対応

 人権と報道・連絡会の第203回定例会が4月18日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、約30人が参加した。テーマは「卒業式ビラまき逮捕」報道と「熱海署不当逮捕事件」控訴審報告。3月に都内の高校前で卒業式での「君が代・日の丸」強制に反対するビラをまいていた人たちが「建造物侵入」の現行犯として逮捕される「事件」が相次いだ。メディアはこの重大な人権侵害をほとんど報道せず、記事にした新聞も警察情報を鵜呑みにした誤報を流した。例会では、都立農産高校(葛飾区)前のビラまきで逮捕されたAさんから、不当逮捕の実態を報告していただいた。また、熱海署不当逮捕事件では、昨年10月の一審有罪判決後、3月から東京高裁で始まった控訴審の状況について、無実の父親の救援活動に取り組む山本麻衣子さんから報告を受けた。

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2005年03月14日

第202回 再びNHKの番組改ざん問題で徹底検証

 人権と報道・連絡会の第202回定例会が3月14日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。テーマは2月に続き「女性国際戦犯法廷」をめぐるNHKの番組改変問題。
 朝日新聞報道に端を発したNHK番組改変をめぐる政治家の圧力問題は、安倍氏ら政治家、NHKの開き直りとそれに加担する右派メディアによって「NHK対朝日の泥仕合」化されつつある。
 人報連の定例会では、問題の本質をよりよく理解するために、「VAWW-NETジャパン」が制作した『沈黙の歴史をやぶって・・女性国際戦犯法廷の記録』(64分)、および、問題のNHK・ETV2001「シリーズ 戦争をどう裁くか」第2回『問われる戦時性暴力』(40分)のビデオ2本を上映、VAWW-NETジャパンの運営委員の方に問題の焦点を解説していただいた。
 この2本を見比べると、問題は「番組改変」どころか「法廷記録改ざん」というべきレベル。例会参加者からは、「より多くの市民に問題の真相を伝えていきたい」などの意見が出された。

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2005年02月14日

第201回 NHK番組改ざん問題検証

 人権と報道・連絡会の第201回定例会が2月14日夜、総評会館で開かれ、約50人が参加した。この日テーマは「女性国際戦犯法廷」をめぐるNHK番組改ざん問題。1月12日付『朝日新聞』が報じた番組への政治家の介入問題は、NHKや安倍晋三、中川昭一氏らの「開き直り」と、それを後押しする右派メディアによって「NHK対朝日の泥仕合」にねじ曲げられようとしている。まさに重大問題だ。
 例会では、「女性国際戦犯法廷」主催団体の一つ・VAWW-NETジャパンの西野瑠美子さんから、番組改ざんの経緯、安倍氏らの「法廷」に対する事実歪曲発言の問題点などについて詳細な報告を受けた。また、この問題をきっかけに政治権力に弱いNHKの体質を改めさせようと発足した「NHK受信料支払い停止運動の会」の醍醐聰さんおよび視聴者・OBの立場から問題の真相究明とNHKの改革を求めている「放送を語る会」の小滝一志さんが、それぞれの取り組みについて発言。人報連世話人の浅野健一さんが「言論弾圧」との闘いの課題を中心に問題提起した。

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2005年01月17日

第200回 IT時代の冤罪・恵庭事件

 人権と報道・連絡会の第200回定例会が1月17日夜、総評会館で開かれ、約40人が参加、「恵庭冤罪事件と報道」についてに、昨年3月に始まった控訴審の現状と課題、「新潮45」訴訟などをテーマに討論した。
 報告では「恵庭冤罪事件支援会・東京」のメンバーでもある人権と報道・連絡会の山際永三事務局長が、恵庭冤罪事件の重要性として「IT時代の冤罪/司法改革時代の冤罪」の視点から問題提起。北海道から駆けつけた「恵庭冤罪事件被害者支援会」の多田政拓さんが、最近のOさんの様子などを紹介した。
 また、裁判の重要な争点である「携帯電話」問題で、支援会・東京の磯部忠さんが判決認定の誤りなどを報告した。「新潮45」問題では、昨年12月号にまた掲載された中傷記事について、世話人の山口が問題点を指摘、2002年2月号掲載記事に対する名誉毀損訴訟(1月18日提訴)の概要を代理人の山下幸夫弁護士が報告した。

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