ニュース・ダイジェスト 2003年

2003年12月15日

第189回 恵庭冤罪事件で支援会・東京発足

人権と報道・連絡会の第189回定例会が12月15日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、約60人が参加した。テーマは「検証――恵庭冤罪事件」。00年3月、北海道恵庭市で起きた女性会社員殺害事件で札幌地裁は今年3月、無実を訴えるOさんに懲役16年の有罪判決を言い渡した。証拠もなく「可能性」の積み重ねで犯人と断じた不当判決であり、Oさんは直ちに控訴、弁護団は来春に始まる控訴審に向けて大幅に拡充・強化され、準備を進めている。
 また、現地の支援会をサポ-トすべく、新たに「恵庭冤罪事件支援会・東京」が結成され、この日の例会は「支援会・東京」の発足集会を兼ねて開かれた。例会では「支援会・東京」事務局の磯部忠さんが支援会発足の趣旨を説明。事件の謎、捜査への疑問点をまとめたビデオ「恵庭の冤罪に真実を」PARTⅠ、Ⅱ(根本銀二監督)を上映した後、人報連世話人の山口が一審判決の問題点を報告。さらに現地支援会の多田政拓さん、新たに弁護団に加わった秋山賢三さんが、控訴審に向けた取り組みについて発言、参加者の間で、事件・裁判・報道の問題点、今後の支援活動などについて討論した。

投稿者 jimporen : 記事リンク

2003年11月17日

第188回 反リストラ産経労の闘い報告

人権と報道・連絡会の第188回定例会が11月17日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、約30人が参加した。この日のテーマは「反リストラ産経労の闘い」。超御用組合化した産経労組に代わる「まっとうな労働組合」反リストラ産経労を結成し、不当解雇された松沢さんの闘いを記録したドキュメンタリー・ビデオ「リストラとたたかう男・・フジ産経グループ記者・松沢弘」(ビデオプレス)が10月に完成した。
 例会では、このビデオを上映した後、松沢さんから解雇処分取り消しなどを求めた裁判の現状を報告していただいた。昨年5月の東京地裁判決は解雇権濫用を認め、懲戒解雇処分の無効を確認したが、東京高裁は今年2月、一審判決を取り消し、会社側の主張をすべて認める判決を出した。松沢さんは、高裁判決は裁判長の「お上に逆らう者は許さない」という思想による判決と指摘、腐敗したメディア・裁判とどこまでも闘う決意を語った。

【関連サイト】
フジテレビ・産経新聞の真相

投稿者 jimporen : 記事リンク

2003年10月20日

第187回 長崎少年事件の報道を検証

 人権と報道・連絡会の第187回定例会が10月20日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。テーマは、7月に長崎市で起きた「男児殺害」事件(長崎少年事件)の報道検証。ゲストに『長崎新聞』報道部長・峠憲治さんを招き、同紙の報道を中心に報告していただいた。長崎新聞は、事件直後にマスコミ取材による地域被害の実態を報じたり、地元の教育関係者などによる緊急シンポジウムを開いたりするなど、他のメディアの興味本位な報道とは一線を画す報道を展開。10月には少年の両親のインタビュー記事も掲載して「加害者家族の苦しみ」も伝えた。
 峠さんはそうした報道の経過や狙いとともに、少年事件報道の難しさも率直に語った。討論では、9月29日に公表された長崎家裁の処分決定との食い違いなど初期の報道への疑問、少年の実名を広めてしまう取材のあり方などについて意見が出され、情報が少ない中で大々的な報道を繰り広げる現在の事件報道のあり方に批判が集中、初期報道に見直しを求める声が多く出された。

投稿者 jimporen : 記事リンク

2003年09月26日

第19回シンポジウム 公正な裁判とメディア報道

 「公正な裁判とメディア報道」をテーマに、人権と報道・連絡会主催の第19回人権と報道を考えるシンポジウムが9月26日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、約100人が参加した。
 刑事裁判に市民が参加する「裁判員制度」導入など、現在進行中の「司法改革」。その中には、裁判員に事件への予断を与える「偏見報道禁止」を名目とした新たなメディア法規制も盛り込まれているが、メディアは依然、犯人視報道を改める姿勢を見せていない。こうした中で開かれた今回のシンポジウムは、ゲストに英国報道苦情委員会(PCC)のロバート・ピンカーさんを招き、PCCが報道被害防止と報道の自由擁護に果たしてきた役割など「英国メディア責任制度の現在」について講演していただいた。
 それに続くパネル・ディスカッション「裁判員制度と犯罪報道」では、「松本サリン事件」報道被害者の河野義行さん、新聞労連委員長の明珍美紀さん、日弁連司法改革実現本部事務局次長の西村健さん、それにピンカーさんも加わり、連絡会世話人・浅野健一さんの司会で、裁判員制度をめぐる議論の状況、犯罪報道の問題点、メディア責任制度実現に向けた課題などを討論した。会場参加者も加わった質疑・討論では、報道の人権侵害にも「報道の自由の危機」にも鈍感なメディア業界への批判、報道評議会の早期設立を求める意見が相次いだ。

投稿者 jimporen : 記事リンク

2003年07月14日

第186回 裁判員制度導入と報道の責任

 人権と報道・連絡会の第186回定例会が7月14日夜、中央大学駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。テーマは「裁判員制度の問題点と報道の課題」。
 01年6月、司法制度改革審議会の意見書が「国民の司法参加」の新たな制度として、「裁判員制度」の導入を打ち出したのを受け、政府の司法制度改革推進本部は今年3月、その04年法制化を目指す「試案」を発表した。試案には「偏見報道禁止」など事件報道に関する項目が含まれており、新聞協会などは「報道の自由を制約する恐れがある」と反発している。
 例会では、弁護士の山下幸夫さんから、裁判員制度の概要と問題点を報告していただき、報道への影響も含めて話し合った。討論では、「裁判の迅速化」を至上とするこの制度によって被告人の権利が狭められる危険性を心配する意見、裁判員に予断をもたらす現行の実名・犯人視報道の改革を求める意見が、多くの参加者から出された。

投稿者 jimporen : 記事リンク

2003年06月16日

第185回 浅野健一氏帰国報告

 人権と報道・連絡会の第185回定例会が6月16日夜、中央大学駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。テーマは「世界各国のメディア責任制度」。昨年4月から1年間、英国ウエストミンスター大学の客員研究員として、欧州を中心とした世界各国のメディア事情を調査してきた連絡会世話人の浅野健一さんが6月初めに帰国された。浅野さんは調査結果を本にまとめる予定だが、例会ではその“速報版”として、メディア責任制度をめぐる各国の最新情報を報告していただき、あわせて取材旅行中に始まった米英のイラク攻撃に関する各国の様子、報道も紹介してもらった。報告によると、各国のメディア責任制度づくりへの動き、関心はますます高まっており、それに比べて日本のメディア界の動きの鈍さがいっそう際立って感じられたという。

投稿者 jimporen : 記事リンク

2003年05月19日

第184回 「恵庭事件」判決と報道検証

 人権と報道・連絡会の第184回定例会が5月19日夜、中央大学駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。テーマは、恵庭事件1審判決と報道。2000年3月、北海道恵庭市で起きた女性会社員殺害事件で札幌地裁は3月26日、Oさんに懲役16年(求刑同18年)の判決を言い渡した。警察の見込み捜査と犯人視報道の中、Oさんが一貫して無実を訴えてきたこの裁判は、検察が全く物証を示せず、弁護側が無実証拠を数多く示し、終盤には報道も無罪方向に傾いた。
 しかし、札幌地裁は弁護側主張の大半を「犯行の可能性はある」として退け、有罪判決を出した。例会には事件直後からOさんを支えてきた「支援する会」の3人から、裁判の経過、判決の問題点、メディアの対応や今後の支援活動方針などについて詳しく報告していただいた。

投稿者 jimporen : 記事リンク

2003年04月14日

第183回 「ロス疑惑」無罪確定と報道

 人権と報道・連絡会の第183回定例会が4月14日夜、中央大学駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。テーマは、「ロス疑惑」銃撃事件無罪確定と報道検証。
 3月5日、最高裁は「銃撃事件」2審判決に対する東京高検の上告を棄却し、三浦和義さんの無罪判決が確定した。84年1月の『週刊文春』「疑惑の銃弾」連載開始から19年、「殴打事件」逮捕から17年半、「銃撃事件」逮捕から14年半。一貫して冤罪を訴え、警察・検察・メディアの犯罪を告発し続けてきた三浦さんの長い闘いの全面勝利だ。例会では三浦さん自身が、無実を示す証拠をもみ消してまで逮捕・起訴した警察・検察の犯罪、冤罪のきっかけをつくったメディアとの闘い、無罪確定への思い、残された課題への取り組みなどについて存分に語り、参加者に大きな感銘を与えた。

【関連サイト】
三浦和義さんのページ

投稿者 jimporen : 記事リンク

2003年03月17日

第182回 京都中央信金籠城事件ほか報告

 人権と報道・連絡会の第182回定例会が3月17日夜、中央大学駿河台記念館で開かれ、約30人が参加した。テーマは、「京都中央信金籠城事件」と報道検証。昨年12月、元不動産会社役員・Tさんが京都中央信用金庫に立てこもり、信金理事長に面会を求めたこの事件・・背景には、バブル景気に便乗した無責任な融資のツケを、バブル崩壊後借り手側に押しつけて責任を回避した金融機関の問題があった。しかし、メディアは、「籠城」をセンセーショナルに伝えるだけで、事件の背景にはほとんど触れず、ビデオを通じて「信金の不正」などを訴えたTさんの行動を「劇場型犯罪」と切り捨てた。例会では、かつてのTさんの部下で、会社倒産後もTさんとともに信金を告発してきた女性二人が、事件に至る経過と報道の問題点を報告、支援を訴えた。
 このほか、NHKの「爆弾漁法」報道を月刊『現代』が「やらせ報道」と報じたことに対してNHKが起こした名誉棄損訴訟について、山際永三事務局長が一審判決の内容問題点を報告した。

【関連サイト】
正義jp : 京都中央信金事件関連
浅野健一ゼミ : NHKインドネシア“やらせ”爆弾漁・名誉毀損裁判関連

投稿者 jimporen : 記事リンク

2003年02月17日

第181回 メディア内部の言論の自由は?

 人権と報道・連絡会の第181回定例会が2月17日夜、中央大学駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。テーマは「日朝交渉報道と新聞記者の言論の自由」。
 人報連世話人の山口は昨年9月以来、週刊金曜日・人権とメディア欄などで読売新聞記者であることを明記して、「日本の侵略・植民地支配の過去を抹殺し、排外主義・国家主義を煽る拉致一色報道」を批判し続けてきた。これに対して、読売新聞社は2月1日付で山口を「編集記者職」から「営業渉外職」に異動させた。背景には、メディア統制を進めている外部勢力からの圧力があった。例会では、山口がその経過を報告し、記者がメディア批判をする意味、メディアの情報公開の必要性などについて報告。参加者の間で新聞記者の言論の自由、日本のメディア状況などについて話し合った。

【参考文献】 週刊金曜日 第444号(2003年01月24日) 51ページ 『人権とメディア(193)・外部の圧力で「記者職」剥奪』(山口正紀)
【関連ページ】 浅野健一ゼミ「山口正紀・読売新聞記者に支援ネットづくり始まる」(2003年2月24日)

投稿者 jimporen : 記事リンク

2003年01月20日

第180回 拉致報道と在日朝鮮人の思い

 人権と報道・連絡会の第180回定例会が1月20日夜、中央大学駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。テーマは「拉致報道と在日朝鮮人の思い、金曜日バッシング」。
 昨年9月17日の「日朝首脳会談」から約4か月たったが、日朝交渉は拉致被害者・家族の「帰国」問題などで暗礁に乗り上げ、報道は依然「拉致問題での北朝鮮バッシング」一色の状態を続けている。こうした日朝交渉の現状と報道を、在日朝鮮人はどう受けとめているか。例会では、チマ・チョゴリ引き裂き事件など「在日」への脅迫・暴力の問題を追及してきたジャーナリストの姜誠(カン・ソン)さん、「慰安婦」制度=日本軍性奴隷制度の実態調査などに取り組んできた金栄(キム・ヨン)さんから、「9・17」以降の「在日」の状況や思いを話していただいた。また、拉致被害者の家族インタビューですさまじいバッシングを受けた「週刊金曜日」副編集長・伊田浩之さんからは、事実に基づかない「金曜日攻撃」の問題点について、具体例をもとに報告を受けた。

投稿者 jimporen : 記事リンク