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2007年10月07日

第23回シンポジウムの予告

 人権と報道・連絡会主催の「第23回人権と報道を考えるシンポジウム」が、11月17日午後1時30分~5時、水道橋・東京学院で開かれることになった。
 テーマは、〈刑事裁判の被害者参加と報道――被害者・被告人の権利をどう守るか〉。

 刑事裁判への「被害者参加制度」などを盛り込んだ刑事訴訟法改正案が6月、成立した。
 この制度は、「裁判員制度の対象となる重大犯罪」で、被害者や遺族が刑事裁判に参加し、証人・被告人に尋問したり、検察官とは別に求刑・意見陳述したりできるようにするもの。「加害者」への損害賠償請求を刑事裁判で付随して行う「損害賠償命令申立制度」も新設された。
 メディアはこの制度を「ようやく被害者の裁判参加が実現した」などと肯定的に報道した。しかし、日本の刑事裁判のあり方を大きく転換するこの制度は、果たして十分な議論・審議を尽くし、幅広い「国民的合意」が得られたものといえるだろうか。
 06年9月に法相が法制審議会に諮問し、07年2月に法制審が要綱案を答申、3月に閣議決定、国会に上程された法案は、わずか3か月で可決された。
 この間、日弁連など司法関係者の間からは「被告人=犯人を前提とした被害者の裁判参加は、法廷を復讐・仇討ちの場にし、重罰化に利用されかねない」といった深刻な懸念・批判が出た。
 当事者である被害者の間からも「被害者が真に救われる制度とは思えない。かえって被害者の負担を重くする」など、再検討を求める意見が出された。
 しかし、そうした疑問の声は、「厳罰を求める被害者の声」を増幅して伝える報道にかき消され、ほとんど議論もないまま、法案は「超スピード成立」した。
 被害者参加制度は、09年の裁判員制度実施に先駆けてスタートする予定。このままでは、法廷が「メディアの犯人断定報道を追認し、無罪を推定される被告人を糾弾する不当な報復・リンチの場」になりかねない。
 シンポジウムでは、「被害者が真に救われる制度を」と訴える被害者、「刑事裁判の根幹にかかわる重大な危機」ととらえる弁護士、諸外国の被害者参加制度を比較研究されてきた研究者から、「被害者参加制度」について問題提起していただき、制度の運用に大きな影響を与える報道のあり方も含めて、討論したい。

【パネリスト】(敬称略)
◆片山徒有(被害者と司法を考える会・代表)
◆山下幸夫(弁護士)
◆吉村真性(博士研究員/龍谷大学矯正・保護研究センター
◆司会 山口正紀(人権と報道・連絡会世話人)

パンフレット(PDF形式)

■会場は、東京学院(東京・水道橋)です。

投稿者 jimporen : 2007年10月07日 00:42