the Liaison Committee on Human Rights and Mass Media Conduct (JIMPOREN) homepage


「人権と報道」概論ロゴ

「人権と報道」概論

〈参考文献〉



①河野義行・浅野健一著『松本サリン事件報道の罪と罰』(講談社文庫、2001年、695円。2004年、大幅加筆のうえ新風舎文庫から新版として刊行、1039円)
 メディアに「毒ガス男」にされた河野さんと浅野さんが、松本サリン事件を通じて誤報や冤罪はいかに作られていくかを綴ったもの(96年に第三文明社から出版されたものに加筆)。冤罪との闘いの記録に焦点を当てた『「疑惑」は晴れようとも――松本サリン事件の犯人とされた私』(文春文庫、2001年、495円)もある。報道被害者の体験的メディア告発書として、他に三浦和義著『情報の銃弾――検証「ロス疑惑」報道』(日本評論社、1989年、1100円)、『創』編集部編『報道被害――11人の告発』(創出版、1991年、1400円)、週刊金曜日編『金曜芸能「報道される側の論理」』(2001年、800円)などがある。

②人権と報道関西の会編『マスコミがやってきた!――取材・報道被害から子ども・地域を守る』(現代人文社、2001年、1700円)
 地域の取材・報道被害の典型「京都・日野小事件」で、どんな取材・報道が行われ、地域住民はそれとどう闘ったのかを記録したもの。人権と報道関西の会の記者も加わって作成した地域報道被害を防ぐための「Q&A」も掲載されている。報道被害を直接論じたものではないが、新聞記者によるリポート、河原理子著『犯罪被害者 いま人権を考える』(平凡社新書、1999年、660円)も参考になる。

③浅野健一著『犯罪報道の犯罪』(講談社文庫、1987年、563円。2004年、大幅加筆のうえ新風舎文庫から新版として刊行、890円)
 本文で紹介した学陽書房刊の文庫版。その続編『犯罪報道は変えられる』(1985年、日本評論社)に加筆・改題した『新・犯罪報道の犯罪』(講談社文庫、1989年、560円)、『客観報道』(筑摩書房、1993年)を改題した『マスコミ報道の犯罪』(講談社文庫、1996年、560円)がある。以上3点は浅野さんの「人権と報道」入門書3部作。また、浅野さんの近年のルポルタージュ『「報道加害」の現場を歩く』(社会評論社、2003年、2300円)は、報道被害をめぐる最新の状況を詳細に伝えている。

④山口正紀著『ニュースの虚構 メディアの真実――現場で考えた’90~’99報道検証』(現代人文社、1999年、1800円)
 人権と報道・連絡会の活動で知った報道被害の実態、新聞記者として報道現場で考えたジャーナリズムの諸問題など、月刊誌『法学セミナー』と『週刊金曜日』に連載した報道検証をまとめたもの。2004年8月には、その続編に当たる『メディアが市民の敵になる――さようなら読売新聞』を同出版社から刊行。なそ、80年代の報道検証は、人権と報道・連絡会参加記者の「報道基準研究会」によるケーススタディとして、法学セミナー増刊の『資料集・人権と犯罪報道』(1986年)、『人権と報道を考える』(1988年)、『犯罪報道の現在』(1990年)に掲載されている。

⑤浅野健一・山口正紀著『匿名報道――メディア責任制度の確立を』(学陽書房、1995年、1854円)
 スウェーデンの匿名報道、メディア責任制度の現状をリポートし、日本の報道被害と匿名報道をめぐる議論、メディア責任制度確立への展望と課題をまとめている。本書が批判した朝日新聞連載「揺れる匿名報道 スウェーデンから」は、朝日新聞社会部編『被告席のメディア』(朝日新聞社、1994年、1200円)に収録。ほかに、メディア責任制度を考える本として、潮見憲三郎著『オンブズマンとは何か』(講談社、1996年、2200円)、野山智章著『マスコミ報道を人権――ヨーロッパ先進国と日本の落差』(第三文明社、1997年、800円)、朝倉拓也著『アメリカの報道評議会とマスコミ倫理――米国ジャーナリズムの選択』(現代人文社、1999年、1800円)がある。

⑥三浦和義著『弁護士いらず――本人訴訟必勝マニュアル』(2003年、太田出版、1700円)
 著者は「ロス疑惑」報道と闘う中で約500件の対メディア本人訴訟を起こし、8割近く勝訴、いくつもの画期的判例をもたらした。その体験をもとに、報道被害者が自力で訴訟を起こせるようアドバイスしたガイドブック。同様の入門書に、人権と報道・連絡会編『報道の人権侵害と闘う本――やればできる本人訴訟』(三一新書、1995年、750円)もある。メディア側から「ロス疑惑」訴訟を検証したものでは、飯室勝彦著『報道の中の名誉・プライバシー――「ロス疑惑」にみる法的限界』(現代書館、1991年、1730円)がある。

⑦読売新聞社編『「人権」報道――書かれる立場 書く立場』(2003年、1900円)
 実名報道を原則とする新聞社の立場から、「人権と報道」に関する社内討議の結果をまとめたもの。事件の現場からの報告、名誉毀損訴訟、メディア規制、実名報道原則などのほか、さまざまな報道事例に基づいてその問題点と記述原則を紹介している。同社の元社会部長・井上安正著『検証!事件報道』(宝島新書、2000年、700円)、『共同通信社会部』(1992年、1400円)も、新聞記者による事件報道・取材実態のレポートとして参考になる。

⑧松田士朗著『テレビを審査する――現場からのTVリテラシー』(現代人文社、2003年、1700円)
 読売テレビディレクターとしてドキュメンタリー「証言・報道被害」などを制作した著者が、テレビジャーナリズムのあり方や報道倫理を考えたもの。視聴率とCM、映像表現の怖さなど、テレビ報道の問題点を指摘、視聴者がテレビの見方を学ぶ好資料。渡辺武達著『メディア・トリックの社会学――テレビは「真実」を伝えているか』(世界思想社、1995年、1950円)、同『メディア・リテラシー――情報を正しく読み解くための知恵』(ダイヤモンド社、1997年、1600円)、鈴木みどり編著『メディア・リテラシーを学ぶ人のために』(世界思想社、1997年、2300円)もテレビの見方を教えてくれる。

⑨臺宏士著『個人情報保護法の狙い』(緑風出版、2001年、1900円)
 毎日新聞記者としてメディア法規制問題を追い続ける著者が、「表現・報道の自由」への危機意識から、個人情報保護法をめぐる動きと問題点をレポートしたもの。メディア法規制を考える資料として、個人データ保護と表現の自由を守る会編『ストップ!個人情報ホゴ法』(現代人文社、2001年、900円)、浅野健一著『メディア規制に対抗できるぞ! 報道評議会』(現代人文社、2002年、900円)などもある。

⑩北村肇編著『新聞記者をやめたくなったときの本』(現代人文社、2001年、1700円)
 報道被害を繰り返す新聞を変えようと努力している現役記者たちが、「何のために記事を書いているのか」と悩みつつ、メディアの中での闘い方を書いた本。編著者は、毎日新聞社会部記者、サンデー毎日編集長などを務め、2004年から『週刊金曜日』編集長。北村氏には、『腐敗したメディア 新聞に再生の道はあるか』(現代人文社、1996年、1600円)などの著書もある。古川利明著『「新聞記者」卒業――オレがブンヤを二度辞めたワケ』(第三書館、1999年、1500円)も、メディア内部から見た新聞批判の書。