“犯罪報道”の現在
2020/2/3
人権と報道・連絡会事務局長 山際 永三
人権と報道・連絡会の姿勢
1984年に出版された浅野健一さんの『犯罪報道の犯罪』による問題提起は今日においてなお生きている。市民運動体「人権と報道・連絡会」は1985年7月に結成された。その運動目標は、マスメディア関係者の自主的統一行動として、①書かれる人、取材される人の人権尊重、②メディア責任制度の確立、メディアオンブズパーソン制度の新設、③事件報道における原則匿名主義を掲げてきた。
ところが、企業競争に明け暮れる新聞テレビ各社は、人報連の提起を無視し、ジャーナリズム本来の在り方を放棄する方向ばかりに向かっている。社会の主要な動きとしての「権力」対「民衆」という図式に割って入っているのがマスメディアである。マスメディアが張り巡らすバリアによって、「民衆」は目標を見失っており、マインドコントロールされているとも言える。