人権と報道・連絡会主催の「第35回人権と報道を考えるシンポジウム」が昨年12月28日、東京・水道橋の「スペースたんぽぽ」で開かれ、約70人が参加した。テーマは「表現の自由とマスメディア」。
昨年8月、名古屋市で開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」では、企画展の一つ「表現の不自由展・その後」が、元「従軍慰安婦」を象徴する「平和の少女像」や昭和天皇の肖像を使った映像作品「遠近を抱えてPartⅡ」に右翼勢力からの攻撃が相次ぎ、開始3日目で中止に追い込まれた。不自由展はその後、芸術祭終盤の10 月に数日間だけ再開できたが、この間、文化庁が芸術祭への助成金支給の内定を取り消すなど、表現への行政の露骨な干渉が目立った。
シンポでは、「遠近を抱えて」を上映した後、作家大浦信行さんと不自由展の実行委員を務めた富山大学名誉教授の小倉利丸さんから一連の経緯の報告を受け、当会世話人の浅野健一を交えて討論。小倉さんらは「この30年間でも、表現の自由を巡る状況は著しく後退した」と訴えた。