人権と報道連絡会の第318回定例会が8月31日、東京・水道橋の「スペースたんぽぽ」で開かれ、約30人が参加した。テーマは「『今市事件』控訴審判決と報道検証」。
8月3日の控訴審判決は、取調べの様子を録音録画した可視化ビデオの映像について、犯罪事実を直接的に認定したのは法令
違反があるとして一審宇都宮地裁判決を批判する一方、殺害方法など自白の中心部分の信用性に疑問を示しながらも、母親に宛てた手紙でKさんが犯行を自認しているなどと状況証拠に過度に重きを置いて無期懲役の有罪判決を維持した。当会では2014年
9月、この事件を取り上げ、地元紙をはじめとした大々的な犯人視報道を検証、批判した。今回も各メディアは、状況証拠のみに頼った高裁判決に対する批判的検討を怠り、問題提起する役割を放棄した。例会では、控訴審から弁護団に参加した今村核弁護士に、数十キロ先の通行記録で犯人性を推認し、読み方によって多様な解釈が可能な母親宛の手紙を一方的に犯行告白と認定していることなど、高裁判決の問題点について詳細に報告してもらった