人権と報道・連絡会主催の「第32回人権と報道を考えるシンポジウム」が12月3日午後、東京・水道橋の「スペースたんぽぽ」で開かれ、約70人が参加した。シンポのテーマは〈相模原やまゆり園事件をどう考えるか~ナチズム・保安処分・福祉行政・報道〉。
7月26日、神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者多数が殺傷された事件と報道について、精神科医の野田正彰さん(元関西学院大学教授)、弁護士で監獄人権センター代表の海渡雄一さん、人報連世話人の浅野健一さんが、山際永三・人報連事務局長の司会で討論した。
野田さんは、被疑者に対する精神鑑定の問題点、日本の精神医療・行政の荒廃、それらの問題点に踏み込まない報道を厳しく批判。海渡さんは、U氏の手紙に表れた障害者抹殺の思想、そうした発想を生み出した病んだ社会と死刑制度の共通点などを指摘。浅野さんは、精神疾患と匿名報道原則、警察に被害者の実名発表を要求するだけで事件の背景を掘り下げないマスメディアのありようを批判。会場も交えた討論では、荒廃した精神医療を放置してきた市民の責任も含めて、こうした事件を繰り返さないために私たちは何をすべきか、さまざまな立場・視点から意見が交わされた。
【当日のチラシ】