人権と報道・連絡会の第300回定例会が1月30日夜、東京・水道橋の「スペースたんぽぽ」で開かれ、約30人が参加した。テーマは「袴田事件再審とメディア」。1966年に静岡県で起きた「清水こがね味噌事件=袴田事件」で死刑が確定した袴田巌さんの第2次再審請求審で、静岡地裁は昨年3月27日、再審開始と袴田さんの釈放を決定、袴田さんは逮捕から48年ぶりに獄舎から解放された。
例会では「袴田巌さんを救援する静岡県民の会」の鈴木昂さんが、袴田事件の「前史」として幸浦事件、二俣事件、島田事件、丸正事件など1940年代から冤罪が相次いだ「冤罪のデパート・静岡県」の問題にも触れ、袴田事件の捜査・裁判・再審の経過、報道の問題点などについて、詳細な資料を基に報告・問題提起した。質疑・討論では、犯人断定報道が裁判にも大きな影響を与えた点が注目され、再審開始決定が出ても当時の報道を反省する検証がほとんどなく、犯人断定報道が現在も基本的に変わっていないことを批判する意見が相次いだ。