人権と報道・連絡会主催の第30回人権と報道を考えるシンポジウム「取調べ可視化と法制審・メディア」が12月6日午後、「スペースたんぽぽ」(東京・水道橋)で開かれた。パネリストは今井恭平さん(ジャーナリスト、「なくせ冤罪!市民評議会」理事)、小坂井久さん(弁護士、前・法制審特別部
会幹事)、周防正行さん(映画監督、前・法制審特別部会委員)の3人(司会は人権と報道・連絡会の山際永三事務局長)。
法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」は今年7月、①一定の事件について取調べ全過程の録音・録画の制度化②通信傍受(盗聴)対象事件の拡大③司法取引制度の導入――などを内容とした答申案をまとめた。取調べが可視化されるのは裁判員裁判対象事件など全事件の2~3%で、冤罪被害者から強い批判が出たが、法制審は9月、答申案に沿った「法改正要綱」を法相に答申した。「取調べを可視化し、冤罪をなくす」ための法制審が、いつのまにか、盗聴拡大や司法取引導入など警察の捜査権限を拡大するものにすり替えられたのではないか――。
シンポジウムでは、この答申の評価、法制審の審議の在り方、日弁連の対応、法制化への対応、可視化をどう実現するかなどについて約3時間半、白熱した討論が展開された。