人権と報道・連絡会の第287回定例会が9月13日夜、水道橋の「スペースたんぽぽ」で開かれ、約30人が参加した。テーマは「実名報道の犯罪性を問う訴訟」。2010年に「名古屋偽造文書冤罪事件」で逮捕・実名犯人視報道され、深刻な報道被害を受けた佃治彦さんが8月2日、『朝日新聞』『毎日新聞』『中日新聞』の3社を相手取って、東京地裁に名誉毀損などの損害賠償請求訴訟を起こした。
この事件について、人権と報道・連絡会では10年6月の定例会で佃さんから報告を受けている。この時は例会報告も人報連ニュースの記事も匿名だったが、今回の提訴に際して佃さんは顕名で報道被害を訴えることを決意した。例会では、弁護団の木下渉弁護士が本件提訴の意義、訴状の概要、報道機関の社会的責任と報道のあり方、実名報道の問題点と判例などを詳細に報告、佃さんも事実関係を中心に話した。この訴訟の第1回口頭弁論が例会5日後の9月18日に開かれ、被告3社とも「争う姿勢」を見せた。人報連事務局では、この訴訟を「逮捕時の実名犯人視報道の犯罪を問う初めての本格的裁判」ととらえ、全面的に支援していくことにしている。