人権と報道・連絡会(団体)が、第22回多田謡子反権力人権賞を受賞

国家権力をはじめとした権力と闘い、人権擁護に尽くした団体・個人を顕彰する「多田謡子反権力人権賞」の第22回受賞者に、人権と報道・連絡会が他の2団体とともに選ばれました。12月11日に受賞発表会が開かれ、人報連を代表して山際永三事務局長が受賞講演します。

「多田謡子反権力人権基金」運営委員会によると、この基金・賞は、1986年12月18日、29歳の若さで夭折した弁護士・多田謡子さんを記念し、その遺志を将来に生かすため、謡子さんの遺産に有志のカンパを加え、1989年6月に設立されたものです。毎年、謡子さんの命日の12月18日前後に、国家権力をはじめとしたあらゆる権力に対して闘い、人権擁護に尽くした団体および個人を顕彰して賞金を贈るとともに、受賞者の講演会を開催して、人権擁護に関心ある人々と広く交流していくことを主たる目的としている、とのことです。
 これまで同賞は、山田悦子さん(甲山事件)、免田栄さん(免田事件)、石川一雄さん(狭山事件)など長年にわたり冤罪と闘ってこられた方々、そうした冤罪被害者を支えて闘ってきた弁護士の安田好弘さん、救援連絡センター、「死刑廃止フォーラム90」などに贈られています。
 今回の受賞者は、人報連、山谷労働者福祉会館活動委員会、柏崎刈羽原発反対地元3団体の計3者。人報連に関する「受賞者選考理由」は次の通りです。
 《人権と報道・連絡会は、マスコミ報道による人権侵害を防止することを目的として1985年に発足しました。事件報道における匿名報道主義を提唱し、市民的基盤を持つ報道評議会の設立をめざしています。
 そのために、つねに権力側ではない視点から報道するのがメディアであるという、ある意味では当たり前のことを、その時々の具体的な事例を取り上げ、集会を開き、通信を発行して、発言し続けてきました。
 連絡会は、とりわけマスコミの犯人視報道が警察・検察を支える形で冤罪事件を作りだしていること、報道は被害者の人権をも侵害することなどに警鐘を鳴らし続ける一方、事件報道にとどまらず、普天間報道やナショナリズムを鼓吹する尖閣列島報道など、報道全体の在り方を常に検証し続け、市民はもちろん、マスコミの記者たちに向けて25年間にわたって発言し続けています。こうした活動に心から敬意を表し反権力人権賞を贈ります。》
 受賞発表会は12月11日午後2時から、東京・神田駿河台の総評会館201号室で開かれ、受賞者には正賞として多田謡子著『私の敵が見えてきた』と副賞20万円が贈られます。また、午後5時から同じ場所で約2時間程度、受賞者を囲む懇親会が開かれます(参加費無料)。
 人報連は1985年に発足し、今年で25周年を迎えました。その間、「人権と報道」をめぐるメディア状況には、「呼び捨て廃止」などいくつかの改革があったものの、権力情報に依存した実名・犯人視報道で報道被害を繰り返す状況は基本的に変わっていません。私たちが目指しす「報道評議会」などメディア責任制度も確立していません。
 この受賞を励みに、いっそう会員の皆さんの連携を強め、人報連を設立した趣旨の実現に向けて、努力を重ねたいと思います。