金 貨
(四百字原稿用紙・換算=22枚)
…………「流行通信」1984年10月号に発表。三部作「インク壜のなかの雷雲」の第1部に当たる。
とある猥雑な町に暮らす、身寄りのない少年・鳥夫と、貧しい浮浪者・砂彦。弱い者同士の奇妙な友情と反目とは、どんな展開をたどったか。
脳死・臓器移植問題等、人間の生命や性をはじめとするいっさいを商品化してゆこうとする現代資本主義の底における極限的な「貧困」と「孤独」が痙攣するユーモアをともなって描かれてゆく果てに、一つの曖昧な「奇蹟」が暗示される。三人称小説。【琥珀色表紙ノートから】
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