世の終わりのための五重奏
(1987年5月 河出書房新社)………………………………中篇小説
【著者から】
いわゆる「あらすじ」的な形で内容を説明することは、あまり意味をなさない。強いて言えば、フランスの作曲家O・メシァンの第二次大戦中の器楽作品『世の終わりのための四重奏』をモチーフに、さまざまなスタイルの言語表現の混在する領域にわたって見え隠れする、私自身の「八〇年代」的な状況に対しての異議申し立てということか。
本書は、これまでのところ、私が手書きで著した最後の本となった。以後の仕事は、すべてワードプロセッサによる。