市民立法機構 第7回運営委員会
日時:1997年12月25日(木) 10時〜12時
場所:学士会館 303号室
出席:五辻、上田、江橋、後藤(敏)、小林、斎藤、須田、並河
@ 状況報告
◎地球温暖化防止京都会議(須田)
今後、採択された議定書を受けて、国内法で二酸化炭素をどう減らすかが課題。通産省では省エネ法を改正して対応しようとしている。ほかに家電リサイクル法が準備されているが、自然エネルギー転換促進法、ハイブリッド車普及税制などが注目される。京都会議では、与党も官僚に負けた実績があるので、分権推進委員会と性格が類似した二酸化炭素削減推進委員会のような組織をつくり、監視・実行をせまるべき。
議定書で定められた削減数値目標は、アメリカ7%、EU8%、日本6%となったものの、ロシアとの排出権取り引きなどでアメリカは実質0%をめざし、石炭から天然ガスへの転換予定のイギリスや旧東ドイツでの削減分をカウントできるドイツなどを含むEUにとって8%は比較的簡単にクリヤーできる数値となっているが、日本の6%に大変な作業となる。
また欧米の政府代表団に入っている国際NGOが情報収集にあたり、日本のNGOにも情報を流してくれるという状況があった。国際交渉ではNGOと政府の協力が必要となるが、日本では官の行政権があまりにも強すぎる。
日本のNGOの功績としては、―10%可能という与党案を政府案に追加する役割を果たしたことだ。日本は研究NGOと交渉NGOの力不足で十分に交渉の場に臨めないのが弱点。
◎NPO法
平成会が法案を提出を引き伸ばし、閉会ギリギリで法案を提出し、継続審議となった。与党案は、参院自民との協議で名称が「特定非営利公益法人」と変更され、暴対法に関する団体・個人は不可という制約が加えられた。市民団体は与党案を通過させることに焦点を絞って活動している。しかし、日本では法律を小さく生んで大きく育てるということが極めて困難のため、市民立法機構としては少しでもリスクの少ない法にならないか、しばらく成り行きに注視する。
◎情報公開法
朝日新聞の報道では、要綱案に外交・防衛に関する特別規定を設けることになるらしいが、新たに入った情報なし。
A 今後の活動について
◎恒常的な活動
・立法ウォッチング
立法ウォッチングとして原稿をまとめてみたものの、具体的に何を書き込めばいいか(政党の対応、議員の評価、今後の課題の掘り出し)がよくわからない。
市民立法をするにあたり、一番重要な情報は、法律がどういう段階を踏まえて国会に上程されるのかという「前段階のプロセス」である。こうした情報は委員会の議事録ではわからない情報であり、国会外で誰がどこで発議をしたのか、政党間での話し合い、世論、審議会などの動きを中心に追わないと、立法ウォッチングの作業自体が議事録の要約に終わるおそれもある。
まずは、一度、各自の原稿を揃え、一冊にまとめて会員に配布する。1月にプランを作成し、次回からは、プロセスや発議などを入れる方向で進める。
◎プロジェクト
・容器製造負担金制度
1月に容器包装リサイクル協会との懇談会を開催する予定。飲料業界の総意と思われるキリンビールの意見への反論を作成して、再度意見交換を行いたいが、交渉すべき窓口が見えないのが実状。
ポストCOP3を踏まえて外堀から埋めていくような働きかけをする必要がある。
・男女共働参画型社会
12月25日夕方から第一回の会合を開き、メンバーの神野東大教授から税制面の問題を含めて話をしてもらう予定。春頃にオープンディスカッションを行いたい。
総理府の審議会の諮問にあった1年半後に成立する予定の男女共同参画基本法を視野に入れて活動をすすめていく。
・自治基本法
本日、機関委任事務廃止後の大綱案が発表された。自治労では兼子仁氏らを中心に行政法ベースで議論を進めているが、できるだけ夢を描きたい。
また、新たに自治事務になったものに関する条例を自主条例でつくるため市民立法をという意見も多く聞かれるので、市民立法機構として何ができるかを考える必要がある。
◎懇談会
・寄付のあり方
今後、2回目の懇談会に向けて、土井さんと経団連などが中心となって事前会合を開き、企業のディスクロージャーの限界などについてのデータ整理を行いたい。